ひえい山(ロックバンド)
Vol.71 1986.2月号掲載 
後列左から:鈴木唯記子さん・伊藤千夜子さん・岩井唯吏佳さん 
前列左から:河村恵美子さん・横山京子さん・藤原幸枝さん
返り咲き?

 
「ひえい山」は高校三年生の女子6名で構成されているロックバンド。もうすぐ卒業になるし、全員が自動車学校に通い出して忙しくなったために、昨年の12月のライブを最後に花と散る(解散)運命にあったのだが、リーダーの横山さんの提案で解散が3月に延びた。「残り少ないけれど、あと何回かコンサートをやるので、ぜひ聞きに来て下さい。そして、ひえい山という名前をしっかりと胸に刻み込んでおいてほしい。」と言う。その後再びバンドを編成する可能性もあるから、その時はまた応援して欲しいそうです。

 ひえい山なんてきくと、うっかり男性バンドと間違えてしまいそうだ。このバンド名を決めるときに、山の名前を付けようということになり、富士山、エベレスト、六甲山、小笠山等々と、いろいろ候補が挙がった中で、一番印象に残りやすい名前が「ひえい山」だった。

性格バラバラ、ドラムもバラバラ

 
メンバーは全員同じクラスの仲間。いつも一緒に居る仲良しグループかななんて思ってしまうが、所がこれが不思議。同じクラスでありながら、バンド以外の繋がりは薄く、教室の中でも音楽に関する話以外はほとんどしないと言う。周囲からは「性格がバラバラで異様なかたまり」と言われている位、性格がバラバラ。やりたい曲もバラバラでいつも曲を決めるのに苦労している。しかも、全員飽き性で、曲が決まったと思うと、途中でやめちゃったりして、1曲仕上げるのにすごく時間が掛かるという。かといって、人間関係がうまくいっていないわけでもない。「性格がバラバラなので、かえってうまくいっているのかも…。」とリーダーの横山さん。

 ボーカルの藤原さんを覗いたメンバーで、昨年の6月までシャドーというバンドで活躍していた。(していたかなぁ?)そのシャドーを結成したのが高校2年の終わりの時で、それまでは全くの経験ゼロの素人集団であった。カッコイイからという憧れだけで始めちゃつたんだからすごい。

 初めの2〜3回だけ友達の友達という人に指導してもらい、あとは個人的に指導したもらったり、独学で練習したりと、適当に練習をしてきたという。その代わり、未だに本番でもしょっちゅうミスをする。1曲やるごとに、出だしで突っかかって何度もやり直すというのだから、聞いている方はたまったもんではない。それでも「うまかった」と誉められて喜んでいる。12月のライブの時には、ドラムは壊れるし、ペダルは取れちゃうしシンバルは飛んじゃうしで、ドラムは殆ど解体寸前。悲惨なライブだったけど、これもいい想い出になる。これが青春なんだよね。



◆横山京子さん(リーダー・ドラム)
ドラムをバラバラにした張本人。性格のバラバラなメンバーをまとめている。しっかり者。自分の言いたいことをはっきり主張するから、うまくまとまっているのだろう。

◆伊藤千夜子さん(ギター)
可愛いのが取り柄だそうで、どこへ言っても一番目立つ存在。周囲にすごく気を遣うが、自分のことになるとあんまり気を遣わないのが難点とか。

◆岩井唯吏佳さん(キーボード)
すぐに自信喪失する。だけど努力家。影で一所懸命やる縁の下の力持ち的存在。会計も担当している。

◆河村恵美子さん(ベース)
 照れ屋に見えて、意外に目立ちたがり屋の面がある。自分の気持ちがすぐに顔に表れるので観察がしやすい。

◆鈴木唯記子さん(副リーダー・ギター)
しっかりしている反面、オヤという所でダラけたりする。明るい性格だけど低血圧のせいか、朝方は機嫌が悪い。

◆藤原幸枝さん(ボーカル)
度胸がある。いきなりステージに立って、歌詞を忘れたときにもその場を繕うのがうまい。頼まれるとイヤと言えない性格。