B NEAL HOUSE(ロックバンド)
Vol.68 1985.11月号掲載 
写真上左から:花島秀明くん・メンバーの友人・山本哲也くん・メンバーの友人・秋山正明くん 下左から:三浦良恵さん・高橋宏くん・鎌倉利彦くん
練習はボイラー室の中

 
B NEAL HOUSE(ビニールハウス)は以前「高校生のこれがいいたい」に登場した高橋宏くん率いるロックバンド。もうこれだけでどんなバンドか大体の想像がついてしまうが、一応、取材してくれという要望に応えて行って参りました。彼等の練習場所は、かの吉岡バラ団地の中にある温室用のボイラー室。冬はボイラーの音がうるさくて出来ないが、夏場は周囲に人家が全く無く、格好の練習場所。(練習場所に着いた途端、映画の「遠雷」を思い出してしまった。)

 練習は月に2〜3回、日曜日の昼間行われる。(この辺は至極健全なのです。)メンバーの内4人は中・高校を通じての同級生。大学を卒業して掛川に戻ってきた時、何もやることがなく、何かをやってみたかったと言う。そこで、とりあえず音楽を…ということで今年の1月に結成。

フォークギターでロックを?!

 
結成以前に高橋くんの餌食に(?)なったのが21才の若き青年秋山くん。「やることがなくて所在なさげにウロウロしていたので、これじゃあイカンで音楽でもやって更正しろと、僕が救ってやったわけ。それでも2人じゃバンドも組めないからと、ギターの上手い鎌倉くんを電話して誘った。それが去年の11月頃かな。最初の頃は僕の家でフォークギターを弾きながら3人で一人づつ歌っていたんだけど、フォークギターでロックじゃ格好がつかなんでと、僕がベースとドラムをやってくれる人を浜松まで探しに行ったけど結局見つからなくて…。俺がベースやるで、秋山、お前ドラムやれって言ったら、最初スティックだけ買ってきて練習していたんだよね。ところが1週間経っても2週間経っても、ドラム買う様子が無くて、その内本人は滅入ってきちゃうし…。実はお金が無くて買えなかった。」と、リーダーの高橋くん。そこで、ドラムはお金のある山本くんに白羽の矢が当たったというわけ。

ボイラー室から漏れて、温室の中はロックの音楽が

 
山本くんの家は掛川でも有数のバラ園の御曹司(と高橋くんが紹介してくれた)。練習場所に事欠いている時、「いいところがある」と、隣の温室の人と共有しているというボイラー室を借りてくれた。周囲に人家が無いとはいえ、温室で働いている人達は、突然聞こえてくるロックの音楽にビックリしているのではないだろうか。山本家の御曹司は「うちの親父なんか、爆発寸前。始まるとどっかへ逃げちゃっている。」と言う。

 曲のレパートリーは「激しい雨が」他9曲くらい。全くの素人集団が、練習時間も少なく、しかもある程度の年齢がいっているにも関わらず、9曲も弾けるのはご立派。いつも危険な状態で、壊れそうな危なっかしい部分があるんだけど、なんとか保っているのは、多分に趣味的な要素が大きいからだろう。しかし、最近はちょっぴり欲が出てきて、人前で演奏してみたいと思うようになり、12月22日にはひょうたん島で初ライブを行う。乞うご期待!(期待は外れるかもしれないが…)



◆高橋宏くん(ベース・リーダー・23才)
「こっちへ帰ってきてから、何かこう身体を動かしていないと滅入っちゃうという感じがあって、とりあえずバンドを組んだ。初めてギターを持ったんだけど、だいたい僕らぐらいの年代になると、今までさんざんやってきて、そろそろやめようかという時期に差しかかってるんだけど、この年になってもやろうと思えばやれるんだという見本になれば…。」

◆鎌倉利彦くん(ギター・23才)
「テクニックとかそういうことに関しては、若い人達がすごい頑張っているから、僕らはテクニックよりもヘタでもいいから気持ちいい音楽を無理しないでやっていきたい。」

◆秋山正明くん(ボーカル・21才)
「このバンドに入って救われた。ありがとうございます。いい青春の想い出になると思います。(なんだ、もう青春終わりかよというヤジ)いえ、まだこれから続きますよ。とにかくいいバンドにしていきたいですね。」

◆山本哲也くん(ドラム・24才)
「ドラムの経験はほとんどない。みんなから買え、買えって言われて無理矢理ドラム買わされました。さあ、12月のライブをひとつの区切りとして今後の方針を決めていきたい。細く長くやっていきたいですね。」

◆三浦良恵さん(キーボード・17才)
「押しかけキーボードです。みんな社会人だから、今ひとつ肩身が狭い。幼稚園から小学6年までクラシックピアノを習ったので、中学に入ったときからバンドやりたいって思って練習してました。なかなか実現しなくて、ようやく日の目を見ました。無垢表はラブリーボーイズの橋本薫さんかLOOKの千沢さん。」

◆花島秀明くん(ギター・24才)
当日は不在。「うまくいってる理由って言うのは、みんな我を出さずにやっているからだと思う。長く続けたいというのが一番。とにかく、みんなで音楽を創るというか、ジャンルに囚われずに、やりたいものに挑戦していきたいですね。」