オリハルコン(ポップスバンド)
Vol.67 1985.10月号掲載 
写真上左から:石垣義人くん・松下裕司郎くん・中島康雄くん 下左から:吉永政則くん・伊藤たつ子さん・石井祥恵さん・鈴木正広くん
アニメの短剣の名前からとったバンド名

 
正式に結成してからまだ2〜3ヶ月しか経過していないという「オリハルコン」。へんてこりんな名前で、名前だけ聞いたら何のサークルかはぴーんとこないけど、一応ポピュラーバンドの名前です。バンド名など考えたこともなかったというメンバーが、取材のために急遽命名してくれました。オリハルコンというのは「海のトリトン」というアニメーションに出てきた短剣の名前からとったもので、特別な意味はありません。

 さて、練習スタジオというのが袋井市にあって、取材するに当たって「場所を教えて下さい」と言ったのですが、なかなか教えてくれようとせず「こちらから迎えに行きます」という。おかしいなぁと思っていたのですが、行ってみて納得。田舎のことだから目印は無いし、しかも、温室の間の狭い道を通り抜けたりで迷路のような所にあった。ここのスタジオは、ミルキーウェイという袋井周辺で長年活動を続けているバンドのメンバーが、2年前に自分達の手で作ったもので、そこを週1回(火曜日)借りて練習をしている。

歌って踊れる音楽を目指して

 
場所が複雑なら、メンバーの繋がりもまた複雑。ボーカルの伊藤さんは、何かのパーティの時にカラオケで歌ったのがきっかけで、リーダーの松下くんに見初め(?)られた。「彼女の歌を聞いたとき、バンドを作ったら絶対に入れようと決めていました。」と松下くん。他の人は、仕事でセールスに行って知り合った人とか、友達の友達であったりとか、年齢もバラバラで全く知らない者通しの寄せ集めみたいな集団だけど、とてもそんな風には感じさせない。結成したまだ日も浅いのに、結構良い雰囲気を持っていて、自然に融け込んでいける。

 ボーカルを入れてまともに演奏できるのはまだ3曲くらいだけど、目標は高い。「今後の目標は、過去にも経験のある人なんかも居て、もう少し練習すれば、テクニックを持っている連中だから、地元でもあるし、つま恋の本選会は一度出てみたいと思っているんですが…アハハ」とリーダー。中には「武道館に行くのが夢」と、大それたことを考えるメンバーも居る。そして、バックに踊りを入れて、視覚と聴覚の両方を満足させてくれるような楽しい音楽をやっていきたいとも言う。それが実現すれば、アマチュアバンドでは今までなかったタイプのバンドが誕生する。


◆松下裕司郎くん(ドラム・リーダー・26才)
人が足りなくなると他から引っ張ってたり、友達が来れば勝手に弾いていったり、メンバーもそれぞれが自由気ままに好きな楽器を弾いたりして音楽を楽しんでやっているのは、リーダーの人柄がそうさせるのだろう、「一流のアマチュアというか、そんな感じにしたいですね。この土地で…」と意気込みもスゴイ!

◆石垣義人くん(ベース・28才)
28才で4人の子どものお父さん。「音楽が好きだからこれからも続けて行きたいし、上手にもなりたいですね。レコードなんかでいろんな人の音楽を聴いてテクニックを盗みたい。」

◆鈴木正広くん(ギター・30才)
メンバーの中では最年長。こちらも2人の子持ち。「一に仕事、二にこのクラブ、三に家庭です。子どもはさて置いても練習に励みたいですね。」お父さんガンバッて!

◆中島康雄くん(ドラム・24才)
現在はドラムの見習い中。石井さんを紹介してミイラ取りがミイラになって、いつの間にかメンバーの一員に。「まだやり始めたばかりなので、とにかく音感を身につけ、音楽に馴染むことから始めます。」

◆吉永政則くん(キーボード・26才)
「僕はいつでも楽しく音楽をやっていたいという感じでやっています。今やってて楽しければいいという感覚で、これからもやっていきたいですね。」

◆伊藤たつ子さん(ボーカル・25才)
「いつもカラオケばっかりで歌っていたんですが、生バンドは気持ちいいですね。」ただし、今は伊藤さんの苦手な英語の歌ばかりで、覚えるのに一苦労しているそうです。これからは日本語の歌も取り入れて貰うようリーダーに頼んでみるつもりとか。しかし、リーダーが見初めただけあって伊藤さんの歌声は聞いていて気持ちが良い。

◆石井祥恵さん(キーボード・26才)
本職はピアノの先生だけど「ピアノはどちらかというとクラシックが多くて、こういう軽い音楽は成れていないので難しい」と言う。ここでは吉永くんとは先生と生徒の間柄で、先生は吉永くんとのことです。