ラブリーボーイズ
Vol.63 1985.6月号掲載 
写真左から:橋本薫くん(19才・キーボード)/杉田哲康くん(20才・ボーカル)/伊藤勲くん(19才・ギター)/犬塚勝吉くん(20才・ベース)/写真なし:窪野学くん(22才・ドラム)
日の出を見て誓った再編成

 
元レイラがバンドを再編成して、ラブリーボーイズというグループの名で、再びファンの前に姿を現した。なんて言うとちょっとオーバーだけど、それでも掛川の高校生の間ではちょっとした有名人(?)なのです。掛工時代から活発に活動していたが、残念なことに卒業と同時に解散してしまった。「僕が大阪に行っている間、勝手にやっててくれって言ったんだけど、いまいち行動力がなかったというか、パッとしなかった。」と杉田くん。「みんな仕事持ってて、都合もあって集まれなかったんですよ。それでモヤモヤしてきて、今年の初め頃、ついに爆発しちゃったんですよ。」と言い訳がましく言うのは伊藤くん。

 今年の元旦に、杉田くんと伊藤くんと橋本くんの3人で中田島海岸へ行き、日の出を見て「今年はやろう!」と誓ったのが再編成のきっかけ。帰りには法多山へ寄って、一緒に門をくぐると縁が切れるという変な迷信を信じて、一人づつ通り過ぎるのを待ってバラバラに門をくぐったのだそうです。(最初から行かなきゃよかったのにね)そのおかげかどうか、今では3人とも元の会社を辞めて、同じ会社でアルバイトで精を出している。四六時中行動を共にしているわけで、チームワークはバッチリ。新しいバンドは、この3名の他に、高校時代のブラスバンドで2年先輩の窪野くんと、同じレイラのバンドだった犬塚くんがいる。

照れながらも大それた事を

 
3人が会社を辞めた理由は、どうせ工場で働くなら、音楽をやっていた方がいいという単純な考えからだと言うが、しかし、それ以上にがんじがらめに縛られて自由がきかなかったことの方が大きな理由である。特に橋本くんの場合「僕なんか交替勤務やってたから、両手両足を縛られてる感じだった。」と言う。自分達のやりたいこともできずに、ただ仕事だけの単調な生活に、嫌気がさしたのかもしれない。だから、「音楽がなかったら会社勤めをそのまま続けていたかもしれない。」とも言っている。

 「僕らも一応世間に、アハハッ、出たいんですよね。」と、照れながらも臆面もなく大それたことを言う。LOOKの鈴木徹くんがデビューしたことで大いに気を良くしているのかもしれない。若さ故に持てる夢でもある。これからも、東京のライブハウスを回って世に出る(?)チャンスを狙うところも鈴木徹くんの影響が大だ。
 「オラ、東京さ行くだ。東京のライブハウスでないとチャンスは生まれてこないし…。だけど、いきなり行っても、ああだめだあ、って自信を無くすから、せめて去年やっていた位の感覚を取り戻しておかないと…。」あのライブの気持ちよさは忘れ難いという。

 今年、生涯学習センターで行われた音楽祭にも出たが、やっぱり小さいホールの方が良いという。乗りが違うの?と聞いたら、「ありますよお、それは。大きいとこっちもやりにくいし、お客さんとの距離がない方が一体感があっていい。遠くの方でシーンと聴かれると、こっちも上がっちゃって…。」しばらくは地方のライブハウスで感覚を取り戻して、それから、いよいよ東京の本拠地へ乗り込む予定だという。とりあえず第一回目の活動は6月2日にライブハウスひょうたん島でライブを行う。

みんな応援してあげてね

 
現在は、ライブが出来るようにオリジナル曲作りで忙しい。ようやく9曲が出来上がった。1人が作った曲をみんなでつつきながら纏めていくそうだが、一人一人の個性が強いのでなかなかまとまらない。しかも、作っている曲もバラバラで、ブルースあり、バラードあり、ポップスあり、ロックありで、個人個人は個性があるんだけど、バンドとしての個性がない。これからは、いろいろな曲をやって、その中から自分達に合ったものを見つけていきたいと言う。まだまだ未完成なバンドだけど、みなさん応援したあげて下さい。プロを目指しているラブリーボーイズでした。