劇団 飛行船
Vol.58 1985.1月号掲載 
写真上左から:団長の杉山弘行さん・恩田芳勝さん・加藤久長さん 下左から:石川敦子さん・中島有美子さん・松村智也さん 他のメンバー:井上和彦さん・鈴木明さん・山下三起也さん・長島一彦さん・太田和子さん・榛村晴美さん・森山宮子さん・村松可お里さん
本格的な活動を開始

 
サークル飛行船は、袋井・掛川を活動の拠点としているアマチュアの劇団である。昨年の10月に発足したが、現在に至るまで一度も晴れの舞台を踏んだことがない。しかし、いよいよ来年の3月に初公演が実現する。袋井勤労者青少年ホームのホーム祭が行われるため、飛行船もこれに便乗して参加する。これから準備段階に入り、いよいよ本格的な活動の開始である。舞台装置作り、役作り、稽古と、これから年末並みの忙しさとなる。

 飛行船のメンバーは、学生時代に演劇部に入っていたという経験者も多い。内2名は卒業後も静岡のアマチュア劇団に入っていたという。ただし、年数が短かったため、端役で終わってしまったそうです。

空高く舞い上がれ!飛行船

 「
劇団が出来た当初は、練習場所の確保が大変だったけど、最近は団員がどうすれば出てきてくれるかが悩みの種。」とか。基本的な発声練習の時はよかったけれど、これから公演に向けての練習になると、1人でも役が抜けるとスムーズに運ばなくなるという問題も生じてくる。その辺に団長としての悩みがありそうだ。しかし、すでに地上を離れて飛行し始めた「飛行船」。空高く舞い上がり、見る者の心に深く食い込んでいくような素晴らしい劇を演じて欲しいものである。

劇団員大募集!初めての人も大歓迎!

 
演劇の魅力は何と言っても、自分以外の「人間」を演じることができることだろう。普段、なかなか口に出して言えないことも、劇の中では堂々と言えることもある。中には「人前で演じることで、すごい快感を覚える」という人も居る。まだスタートを切ったばかりの飛行船だから、既製のの中に入っていくのではなく、これからみんなで創り出していくサークルでもある。経験、年齢、男女を問いませんので、演劇に興味のある方、仲間に入ってみませんか?今のところ現代劇を中心にやっていきたいそうです。



団員の紹介
団長の杉山弘行くん
1年半、静岡にある劇団に入っていたという杉山さん。「いままで端役ばっかりだった。主役をやろうなんて考えていない。と言えば嘘になるけど、何とか良い役もらえるんじゃないかと期待はしてます。演出家希望だったけど僕じゃ力が足りないと思うので、他からお願いしました。僕は役者に回ろうと思っています。」人間くさい劇が好きだそうですから、乞うご期待!

本多芳勝くん
入ったときは全くの未経験だったという本多くん。「杉山さんとか石川さんが、仕事の上で近い存在だったので誘われて入りました。最初は演劇というものがよくわからなかったけど、いろんな劇団の公演を見に行ったりしている内に、魅力を感じてきました。できれば時代劇なんかもやってみたいですね。」

加藤長久くん
今日初めて参加したという加藤くん。大学の時に演劇部に籍を置いていたが、卒業後は自分自身でサークルを作ってみたかったという。声を掛けても誰も乗ってこないだろうと諦めていた所、このサークルの存在を知った。「音楽を聴けば音楽になるし、演劇や映画を観れば自分でやりたくなる。目立ちたいということもあるし、最近、自分の中に有るものが外に向かっていくような感じが出てきたんです。メンバーとは今日初めて会うんだけど、意外に溶け込みやすい雰囲気ですね。」

石川敦子さん
石川さんもやはり静岡の劇団に入っていた。人の前に立つことは意外に平気だったけれど、重要な役はやらせてもらえなかったそうです。「ひとつの役をもらえれば、自分が普段考えない様な事も、役としてその中に入っていけるので魅力がありますね。まだ役の中に入り込んでしまう所までは行っていないけど…。児童劇をやってみたいですね。喜劇でも悲劇でも何でも良いけど、ただおもしろいだけで終わってしまうのではなく、観た後に少しでも良いから何か残るものをやっていきたい。」

中島有美子さん
おばあさん役とか、くせのある役を演じてみたいと言う中島さん。高校時代もヒーロー、ヒロインを避けて、脇役に徹していたという。一番難しかった役は代官の役だったそうです。「嫌われ者というか、ワンマンな代官で、ちょっとしか出る場面がないんだけど、すごく重要な役でした。終わった後で、こんな大事な役だったのか、って気がついて、もう少し研究すればよかったと後悔しました。」幕が下りた瞬間が好きだという。

松村智也くん
:経験は全く無かったけど、最初からメンバーに入っていたという松村さん。「やったことがなかったので、物珍しさもあったけど、それ以上に友達関係を深めていきたくて入りました。小さな頃から内気だったので(人は認めてくれない)人前で話すのは苦手で、そういうのを克服していきたいということと、言葉をハッキリ発音したいというのも、入った理由です。」