明日の農業を考える 掛川4Hクラブ
Vol.55 1984.10月号掲載 
クラブに入って息抜きしよう

 
農業後継者の人達で組織されている「4Hクラブ」は全国的な組織で、大体どこの地域に行っても存在している。4Hとはヘッド(頭/Head)、ハンド(手/Hand)、ハート(心/Heart)、ヘルス(健康/Health)の意味を持ち、農業の向上と仲間作りを目指して活動を続けている。

 掛川4Hクラブには、現在女性1名を含む24名の会員がいる。年齢は18才〜26才ぐらいまでの専業農家の若者達。情報交換をしたり、遊びを兼ねた研修旅行に出かけたり、仲間で管理している土地で野菜を栽培したり、飲み会を開いたりと、なかなか忙しい。今年の冬は、スキーを兼ねた研修旅行も予定している。

 普段は家族だけで仕事をしているので、同じ様な年代の人達との接触が少ないせいか、こうしてクラブに出てくることは気晴らしになって楽しいという。ましてや、同じ様な仕事をしている仲間だから、会えば自然に話も弾む。

あるクラブ員の本音

 
今日は地主の方の好意で借りている畑(写真右下)の草取り。何が植えてあるのかがわからないくらい草が茂ってしまったので、かなり手こずっている様子。ここの畑には、今年もサツマイモを植えた。まだまだ小さいけど秋の収穫が楽しみだ。収穫に時期になったら、幼稚園の子ども達に掘ってもらったり、秋の農業祭で焼き芋を作って売る予定でいる。(農業祭には焼き芋目当てでぜひいきたい!)みんなで作った物が売れたら、そのお金はクラブの活動資金に充てられる。

 みんなで飲みに行ったり研修に行ったり…。「研修という名目で実は、物が獲れたときの喜びより、お金が入って打ち上げがやれるときの方が楽しいですよ、アハハ。それしかないらあ。」と、あるクラブ員の本音。

 家にいるときは生活をするために仕事をするから、忙しいときには休み時間もなしで働くこともあるし、収穫期に成果が現れるから毎日が勝負。ここなら、失敗しても草ぼうぼうに生えてしまっても、それはそれで許される。みんなでワイワイやりながら、息抜きの場になればいいのだ。

専業農家で高収入?!

 
最近では、農業のあり方も変わってきている。良質の物を大量に作っていかなければやっていけない時代になりつつあると言う。お茶とかメロンとかイチゴなどの主力品に絞って、それに力を注ぐやり方になってきた。今迄みたいに、季節ごとにいろいろな種類の野菜や果物を作ることをしなくなった。良い悪いは別にして、専業農家でも努力すれば高収入を得られるようになったわけだ。それだけに、お互いの情報交換や他の土地への研修も大切になってくる。

 農業も今は機械化が進み、昔みたいに大変な仕事ではなくなった。彼等などはまだまだのんびりしたものだ。「静岡の人はのんびりしているって言うけど、もっとのんびりしているじゃないかやぁ。農業は時間に縛られていないからいい。暑いときは朝晩にしっかりやって、昼は休んだりとか…。」しかし、ある程度の年代になると「こんなことしてちゃいかん。」という自覚が生まれてくるのです。

農業を目指す若者集まれ!

 
自分で手を掛けて物を作る仕事というのは本当に楽しい。私自身も自給自足とまでは自信が無いけど将来的には必ず実現してみたいと思っている。(ただし、土地が確保できたらの話です)

 それにしても、最近の若者はしっかりしているというか、かなり考え方が打算的になってきた。農業をやるについては、しっかりと条件を付ける人が増えてきたそうである。休漁は毎月いくらと決めて月給制でもらい、休みの日もある程度きめてもらうようにしているという。親も後を継いでもらわなければならないので弱いんですよね。農業もサラリーマン化になりつつあるのです。自営だから居心地良いですよ。もっともっと仲間が増えていってもらいたいものです。4Hクラブでは同じ農業を目指す仲間を募集しています。


メンバー(敬称略)
堀井利明(五明・お茶)・堀内靖則(五明・お茶とイチゴ)・松浦保夫(五明・お茶)・岩瀬静夫(五明・お茶とイチゴ)・横山操(杉谷・お茶と養豚)・伊藤勉(東山・お茶)・中村秀幸(上垂木・温室メロン)・萩田喜一(各和・お茶)・萩田和嗣(各和・お茶とイチゴと乳牛)・大庭正敏(吉岡・温室メロン)・豊田猛(本郷・イチゴと水稲)・佐藤賢司(本郷・温室メロン)・山本和典(幡鎌・お茶とサニーレタス)・藤川一弘(中西之谷・お茶)・佐々木誠司(上内田・お茶とトマト)・山崎智勉(上内田・お茶とイチゴ)・角皆春久(板沢・お茶とレタス)・西川勇一(板沢・お茶と水稲)・栗田和範(上内田・お茶とイチゴ)・鈴木保夫(上内田・メロンとレタス)・松本喜典(浜岡町・イチゴ)・曽根一三(小笠町・温室メロン)・杉本樹彦(日坂・お茶)・大塚真弘(日坂・お茶)