ロックバンド レイラ
Vol.38 1983.5月号掲載 
写真左から:戸塚一也くん・伊藤勲くん・犬塚勝吉くん・杉田哲康くん・橋本薫くん
 高校生の人達がバンドを組むと、大体がハードロックかパンクロックの傾向が強いですね。やっぱりエネルギーが有り余っている証拠でしょうね。目立ちたいという気持ちが半分(中には全部という人もいるけど)と、身体を思いっきり動かしたいというのが、主な理由のようです。若さって良いですね、何をやってもさまになるから。

 さて、掛川地区にもう一つ、「レイナ」というアマチュアのロックバンドがあるんだけど、時々というかよく間違えてしまうんですけど、今回は「レイラ」というアマチュアバンドです。当日、私はてっきりレイナだと思い込んでいて、「時々、編集室にファンレターが来ているよ。このグループを取材してくれって…」と、うっかり口を滑らせてしまったのです。「えっ!」と全員驚きと期待の表情。そのとき編集長が「あれはレイナ。このグループはレイラ。」の一言で、レイラのメンバーはすっかりしょげてしまったのでした。

 レイラのメンバーは、今年3年になったばかりの高校生。全員が掛工のブラスバンド部員でもある。1年半くらい前に結成したのですが、途中で現在のメンバーにメンバーチェンジ。「人間的繋がりは良いんだけど、音楽的になるとバラバラというかまとまりが全然無い。」というぐるーぷですが、とにかく音楽をやっていれば楽しくてしかたがないという5人組です。5人集まれば女の子の話題が中心というごくフツーの高校生。音楽はまともに出来るのはまだ10曲ほどですが、その中でも欲に「バーン」という曲が、十八番で、何かあればすぐに出て来る曲です。



◆戸塚一也くん(ドラム・リーダー)
彼は非常に慎重主義者で、他のメンバーはコンサートとか色々な催しに出たくてウズウズしているんだけど、彼一人が「現在は基礎作りの段階だから…。」と頑なに拒みつづけている。「ドラムって叩くだけだから、力さえあれば簡単にできると思って始めたんだけど、実際は難しいですね。手足を動かすのに全部バラバラだから…。でも、身体全体を動かせるから楽しいです。身体をちょっと動かすと汗でグジョグジョになるでしょ、これが青春だぁって感じる。これがいいんですよ。」

◆伊藤勲くん(ギター)
中2の途中からフォークギターに興味を持ち始め、中3になってからエレキギターに転向したという伊藤くん。「楽譜は読もうと思えば読めるけど(ウソッ!)面倒くさいので適当に自分で変えてしまう。弾く度に違いますね。二度と同じフレーズは弾けません。まっ、よく言えばアドリブの天才ですね。(悪く言えば?)」親が放任主義だとこのような子供が出来ます。良くも悪くも、子育ての参考にして戴ければ幸いです。

◆犬塚勝吉くん(ベース)
ロック、フォーク、ポップスと音楽なら何でも好きという犬塚くん。中3の頃から友達の影響を受け、今では音楽がなければ生きて行かれないとか…。以前どこかで男女別のアンケートをとったとき、女子は勉強するとき、静かなところで集中してやらないとテストの結果が悪く、男子は逆に音楽などを流してやっている方がテストの結果が良いんだそうです。犬塚くんも、やはり音楽を流しながらセッセと勉強に励むのだそうですが、その割に成績が上がってないようで…。「授業中なんかも友達がカセット持ってくると、カセッ(しゃれわかる?)って取っちゃいます。」

◆杉田哲康くん(ボーカル・ギター)
このグループは、英語もわからないのに英語の曲ばかりやっているのです。ボーカルの杉田くんにとって英語は得意科目の中に入っておらず、歌詞を覚えるのに一苦労。英語のスペルをカタカナに直すのが精一杯で、発音どころか歌詞の意味もわからず歌っているのです。それでも、他のメンバーからは「うまい!」と、中々の評価を得ている。本人曰く「このバンドの人ったら、ボーカルがいないというもんで、それじゃ僕がやるって言ったんだけど、英語の丸暗記みたいで、もう地獄。」今後は、自分達で作詞・作曲もやって、日本語の歌も歌っていきたいとのこと。杉田くんの一番臨むところであります。彼は時々ギターも弾いてます。

◆橋本薫くん(キーボード)
キーボードの経験は?の問いに「それを聞いて欲しかった!実はですねぇ、幼稚園の時からオルガン教室に通っていたんです。小学校に入ってから、何を思ったのか野球部に入りまして、高校に入ってから再び音楽に目覚めて、やり始めたら楽しくてたまらない。」という橋本くん。一番得意としている曲はなぜか「結婚行進曲」。他のメンバーは、いつも聞かされているのか少々うんざり顔。さて、最後に橋本くんの叫びを聞いてやって下さい。「僕、キーボードだもんで、ギターやベースみたいに1本あればいいってもんじゃない。何台も欲しいけど、学生の身だもんでお金がない。だもんで、今キーボード沢山欲しいって言ってもしょうがないけど、叫びたいくらい言いたいです。」(叫んでも誰も買ってくれないよっ!)