菊川ツーリングクラブ K.T.C
Vol.31 1982.10月号掲載 
写真上:横山厚則さん 写真下左から:鈴木秀光さん・横山宜正さん・横山賢二さん・柴田邦宏さん
富士スピードウェイに入れば125ccでも200km/hは軽く出るんだ!

バイクは国によっては14〜15才で乗れるところもある。そのかわり排気量によって年齢制限されている。日本では高校生がバイク全面禁止にしようと躍起になっているが、これもお国柄の違い?

さて、こちらのK・T・C(菊川ツーリングクラブ)はもう十分年齢がみたされているから安心だ。若い人から60才近い人まで年齢の巾も広い。K・T・Cは、今から10年以上も前に発足されて、バイク好きな人達が入れ替わり立ち替わり集まってきて、自然に代々続いてきたグループである。毎月1回、必ずツーリングに出かけて行く。そして年1回、1泊で少し遠い所にも行くが、その時は30〜40台が集まるという。全員が750ccだ。

今回取材した6名は、K・T・Cの会員であると同時に昨年の11月からレースの方も始めたアマチュアのレーサーである。富士スピードウェイや鈴鹿サーキットに行って走るのである。練習にもわざわざ富士や鈴鹿に出かけて行く。

スリルと緊張感が最高にいい

バイクはまさにバランスの乗り物だ。コーナーを曲がる時のあの角度を見よ!おしりと足が地面にくっつく位車体を寝かしている。一歩間違えば寝たまま走ってしまいそうだ。しかし、レーサーにとって、コーナーをゆっくり曲がったらバイクそのものの魅力から外れてしまうと言う。彼等はいつも危険と隣り合わせのレースに、男のロマンを懸けているのである。家族や恋人にとっては、あまり有難くない競技であることは確かだ。

レースの時は緊張の連続だ。走っているときは喉がカラからに渇き、真冬でも寒さを感じないという。「スリルと恐怖感が実にイイ」冷や汗の連続だそうだ。

しかし、練習場の方が安全でいいという。一般道だと、子供が飛び出してきたり、石が転がっていたりで危険が蔓延している。その点練習場なら安心して走れるし、常に緊張しているから逆に安心な面もある。しかし、たまには転けることもあり、横山厚則君はバイクもろとも空中に放り出され救急車で運ばれたこともあると言う。「しかし、何と言っても練習所なら、いくらスピードを出しても警察に怒られる心配がないのでそこがいい」と本音もちらほら。

彼等はレース用のバイクを4台保有し、クラブ共有が650ccと400ccの2台、個人で横山厚則君が350cc、柴田君が125ccを所有している。レース用のバイクは軽くて空気抵抗を少なくしてあるので、125ccクラスでも200km/h近いスピードが優に出るという。柴田君のバイク以外は全て一般のバイクを改造したもの。部品を買ってきては自分達で改造している。これも楽しみのひとつかもしれない。



横山厚則さん
(27才)リーダー
彼はレース中に2回転けたという。バイクもろとも空中に投げ出され、救急車で病院に搬送されたにも関わらず、翌日にはもうレースに参加したという強靱な肉体の持ち主。「レース中は痛みを感じなかった。(緊張感のため)レース修了後医者に行ったら骨折だと言われびっくり!」その時の順位は23位となかなかの好成績。とにかく「走っているときは色々な雑念が消え、走ることしか頭にない。」という横山君でした。

鈴木秀光さん(27才)副リーダー
「最初はレースに出るつもりはなかった」と言う鈴木君は、捨てる寸前の400ccのバイクを改造しこれに乗って26位になったことに気をよくしている。「この車でこの順位に行けば満足です。ちょっと考えられないですね。レースで勝とうと思ったらまずバイクの改造にお金を掛けないとムリです。」世の中やっぱり金でした。

横山宜正さん
(26才)
まだレースに参加したことがないという横山君は、当面の目標はレースに出ること。11月の富士スピードウェイで行われる最終戦には必ず出たいと張り切っている。「今はピットの方をやっているが、レースに出なくてもレースで走っている人が時間が来ても返ってこなかったりすると、それなりに緊張もする。」そうです。

横山賢二さん(20才)
メンバーの中では一番若い。「オートバイをコーナーで寝かせて走るのが好き。直線ばっかり走るのは魅力無いですね。一般道だと、すぐ前がつかえちゃうからつまらない。」そうです。彼もまたピットの方をやっている。

柴田邦宏さん(23才)
彼はレース用の125ccを持っているが普段は750ccに乗っている。「レース車は小さくて軽くてそれでもcつて750ccよりスピードが出るんだから。」と笑う。「レース時のスタートの緊張感が最高にイイ。心臓がドッキンドッキンして。」と言う柴田君の自慢は、まだ一度も転けたことがないこと。

乾 敏男さん
今日は都合が有って来られませんでした。