絵画サークル「ムの会」
Vol.29 1982.8月号掲載 
メンバー(敬称略):写真上左から:三浦公明・草賀正道・加藤一男 下左から:松井孝司・溝口弘美・井野義則
 そのほかのメンバー:安西直子・石川稔・川井宣之・栗山すなり・鈴木斉・鈴木学・牧野しげみ・松浦カオル・高井規行
メンバーが揃えば、何はともあれスケッチ

「僕らには絵の道がございます」なんて大げさなものでもないんだけど、絵の好きな者同士が集まって、今年の5月から「ムの会」の活動を開始した。発起人の三浦君がレターハウスの78%事務所にやってきたのは4月初め。仲間を集めたいのでタウン誌に掲載して欲しいということであれこれのコーナーで募集し、他にも静岡新聞やらNHKのFMリクエストアワーや、三浦君自身が呼びかけたりと、ともかく15名の会員が集まった。そして5月中旬には正式の会として発足した。

 5月に発足したばかりだが、デンマーク牧場や油山、掛川公園などでスケッチをしたり、スライドを見たり、会合を開いたりして活発な活動をしているようだ。メンバー全員仕事を持っているので、休みが違ったり夜勤の人がいたりで、全員が一堂に集まることはない。足並みを揃えるのは大変だそうだ。現在、掛川市で絵画クラブは「ムの会」と「がん豆会」の2グループ。

「がん豆会」は発足以来10年以上も続いているが、最近は活動が停滞ぎみ。しかし、最近では「ムの会」の若い人達の意欲に刺激されてか、少しずつ合同の企画を立てて活動を再開し始めたそうである。ちなみに「がん豆会」には、西高の鈴木雁氏、創展会員の横山良美氏等が名を連ねています。

いつかは必ずグループ展をやったるでぇ!

三浦君がこの会を発足しようと躍起になったきっかけは、もちろん活動の場がなかったからに他ならない。以前は掛川の西町に画材店があって、暇をみつけては絵を描きに行っていた。ところが、高校卒業後他の町に行って3年後に掛川に帰ってきた時にはその画材店が跡形もなく消えていた。

「がん豆会」もほとんど活動していなかったし、自分の周囲には絵に無関心なひとばかり。つまらなかった。そこで、知人に声を掛けたりしながら人を集めた。集まってきた仲間は絵の好きな人や多少経験のある程度で、技術的にはまだ未熟な人達ばかりだ。しかし、将来的にはグループ展を開きたいと張り切っている。これからどんな活躍をしていくか楽しみだ。生まれたばかりの「ムの会」が長続きするよう、声援を送ろう。拍手!パチパチ。



会長:三浦公明さん(
24才)
横尾忠則とか岡本太郎の描く幻想的な絵やイラスト的な絵が好き。という三浦君は、職業訓練所にも2年通って広告美術(看板とかパネルに絵を描いたりシルク印刷を主にやる)の勉強をしたが、現在の職業には全く関係していないようだ。しかし、将来的には必ず何かの形で残していきたと思っているそうだ。「ムの会は、先生を頼まないで行き詰まったときだけアドバイスや指示を仰ぐようにして、出来るだけ自分達の力でやっていきたい。」とこれからの抱負を語ってくれた。

草賀正道さん(28才)
「メンバーの中で一番年を取っています。掛川にもこういうクラブがあったらなぁと思っていたらこの会があることを知り入会しました。同じ様な考えをもっている若い仲間が集まって、何かをやるっていうことはすばらしいことだと思います。いいんじゃないですか。僕、一番年取っているけど。」(かなり年のことをきにしているみたいだなぁ)

加藤一男さん
(27才)
ちょっと神経質な加藤さんはかなり緊張している様子。「暇でこれといってやることもないので、誘われた時直ぐにOKしました。どちらかというとイラストとか漫画が好きなんだけれど、最近は浮世絵の色っぽさとか渋さに惹かれています。」

松井孝司さん(24才)
三浦君とは中学の時に同じクラスだった関係もあり、声を掛けられて入会。「いつも三浦君が熱心に活動しているもんだから、できたら部員の中の隅っこの方にでも置いて貰おうと思って入った。ミーティングだけは出ているけど、活動の方は機会がなくてまだ一度も出席したことがありません。一応、スケッチブックも隅っこの方で小さくなっています。」

溝口弘美さん(26才)
たまたまラジオを聞いていたら、NHKのFMリクエストアワーでこの会の存在を知ったという溝口君は、「どちらかというとイラスト的な絵が得意です。だけど、絵のクラブが出来るということを知ったとき、同じ絵だから何か通じるものがあるのではないかと思って入会しました。通信教育でイラストレーターの勉強もしています。成れるか成れないか判らないけど、将来イラストレーターの仕事をしたい。」(頑張って下さい)

井野義則さん(24才)
「まだ23才だけど本が出る頃には24才になっています。でもメンバーの中では一番若い。前から絵には興味があったんだけど見ているだけで描く方はまるっきりの素人。人物を描きたい、女性に限らずね、人はそれぞれいろんな表情を持って居るので、その辺を追求してみたい。変に彩りを添えてまとめるより、心のままを出していきたい。」そうです。