現在活動は休止しております。以下は会結成時の過去の文章です。
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相手方答弁書
平成八年(ノ)第一六七号、管理規程改正請求調停事件    申立人 永倉章
                             相手方 株式会社M、外一名
平成八年九月二日
              東京都中央区日本橋***  相手方ら代理人 弁護士 K
諏訪簡易裁判所 御中

答弁書
第一 申立人の趣旨に対する答弁
 申立人の要求には、いずれも応じられない。
第二 紛争の要点に対する反論
一、本件管理業務規程の法的特性と申立人の当事者適格性について
 相手方株式会社M(以下相手方Mという)は、八ヶ岳中央高原Mすずらん平を分譲するにあたっては、全ての購入者から「共益施設維持管理業務規程」及び「共益施設大修理基金規程」につき承認を得た上で売買契約を締結している。そして同管理業務規程において管理会社は相手方株式会社Sリゾートサービス(以下相手方Sリゾートサービスという)と定められ、管理業務の範囲や維持管理費等が規定されている。そして規程条項の新設、改定は相手方Sリゾートサービスが行うものとされている。
 このように売買契約の付帯条件として前記各規程を承認するものとし、かつ規程の改定を相手方にて行えることにしたのは、別荘地管理という特殊性にもとづくもので理由があるのである。
 即ち、分譲後の管理を同じく必要とするマンション等の区分所有建物においては、建物区分所有法が適用され、管理内容は購入者で組織される管理組合が全てを決定し、管理業務は管理組合が管理会社に委託して行い、管理内容の改定は管理組合の決議により行い、管理会社の変更も適宜行えることになっており、分譲会社が分譲後も管理に関与することは原則としてない。
 これに対して、別荘地販売の場合は、分譲後も管理業務が発生するものの建物区分所有法のような関連法規が存在しないため区分所有建物の場合の管理組合にあたるものが予定できず、また、管理業務を行えるのは事実上、分譲会社かその関係会社に限られてくるのである。
 従って、管理契約については管理会社と購入者が個別に約定するほかないが、共益施設の維持管理について多数の購入者との間で管理内容や管理費を個別に決定することは事実上不可能であるし、そもそも共益施設の利用不可分性からして一定の負担ルールのもとに統一的な契約内容にしなければならない。
 とすれば統一的な管理サービスの供与のためには、管理会社の側において当該別荘地に即した管理内容や管理費を定めてこれを例外なく購入者に承認して貰い管理内容や管理費の改定についても、個別には改定できないし、かといって購入者全員の同意がなければ改定できないというのでは変更不可能に等しいから、結局購入者のニーズの変化や諸物価の動向等を勘案した管理会社の合理的な裁量に委ねるのが最も適切であることになる。
 これに対し、申立人の要求は、右の現行の管理形態を改め、管理業務内容を具体化し、また、管理費を含む管理業務規程の改定・新設は全て別荘所有者との協議に基づいて定める形態に変更しようというものである。
 しかしながら、これは現行の管理契約の変更を求めるものであるが、統一的な契約内容にしなければならない管理契約の変更を申立人のみと行い他の者を規律することはできないから、そもそも申立人一名のみでの申立は適格性を欠いている。
 また、仮に申立人の要求するような管理契約にすると、状況の変化に対応するため従来の管理内容を改廃しようとしたり、新たな管理内容を盛り込もうとしても、別荘所有者全員との協議が整わない限り実現できないことになり、管理の硬直化を招くことになる。
 従って、相手方らとしては、当事者適格性を別としても、申立人の要求するような変更には応じられないのである。

二、申立人の「申立の趣旨」について応じられない理由については、以上に述べた点から既に明らかといえるが、整理を兼ねて再論しておく。
(一)まず共益施設の維持管理費を民主的で公正な算定方式に改めることを求め、管理規程の一区画の土地面積に加えて建物の延床面積に応じて費用を按分負担する現行方式を不合理と申立人は主張する。申立人のいう公正、公平を貫こうとするならば受益者負担の原則に則り費用を分担すべきことになるが、所有者各人の受益の程度を調査測定することは不可能に近く、調査測定のための多額の費用が維持管理費に加わり本末転倒の結果となろう。そして申立人は本別荘地に定住しているとのことだから殆どが定住していない本別荘地の所有者の中では圧倒的に受益の程度が高いことになる。従って公平な負担を完全に貫くとすれば申立人の管理費の負担額は現在の標準を大きく上回ることになることを付言しておく。
 共益施設について各所有者が受ける利益の程度を維持管理費の各人の負担額にすべて反映させることは極めて困難であり、受益の程度をある程度捨象し、土地及び建物面積に応じて管理費を負担することに特段の不合理はなく、現に大多数の所有者は異議なく管理費を納入しているのである。
(二)管理業務規程の改定、管理費改定、新規事項の設定及び業務体制の変更等は別荘地所有者との協議に基づいて決定するとの申立については、もしこれを容れるならば、所有者全員と同一内容での協議が成り立たない限りは変更できないということになる。全員との協議成立などということは現実的には考えられないから、このようなことを要件にすると状況に応じた適宜、適切な管理は不可能になる。
(三)維持管理費の決算報告書と大修理基金の運営収支報告書を別荘所有者に報告をするとの申立については、本件管理形態は前述したように管理内容、管理費の設定について管理会社の合理的裁量に委ねられており、マンションのごとく管理組合が管理内容を決定してこれを管理業者に委託する契約関係とは異質なものであるから委任のような報告義務を負うものではない。
 大修理基金については、収支決算報告を相手方Sリゾートサービスの管理事務所に掲示している。
(四)管理業務規程に基づく管理業務の内容を具体的に明文化するとの申立については、いたずらに業務内容を詳細に具体化して固定させることは管理会社の裁量の余地をなくし、却って管理の硬直化を招くこととなる。

三、相手方Sリゾートサービスは、相手方Mと綿密に連絡をとり、また申立人ら別荘所有者の意見や要望についても十分に耳を傾け、その適否を踏まえた上で別荘地管理を円滑に実施してきており、申立人の指摘するような不履行の事実はなく、管理内容は申し受けている管理費の額に照らし適切なものである。
 申立人は平成五年に建物を増築し、その結果延べ床面積が増加した分管理費が増額することになったが、これを不満として本別荘地に定住しているにもかかわらず平成六年以降一切、管理費を納入してきていない。
 申立人は本件申立をオーナズクラブの総意と称しているが、実際は申立人となったのは一人であり、管理費の支払いを拒絶する口実として申立の趣旨記載のような要求をしてきているが、それが無理難題であることは以上から明らかであり、支払いを拒絶できる理由には全くならない。 

相手方答弁書に対する意見書(書簡)(1996年10月17日)
一、共益施設維持管理業務の受益度と管理費について

受益者負担は的外れ、適用すべきは平等原則

 (株)M及び(株)Sリゾートサービス(以下相手方という)は今回の答弁書で、申立の趣旨「共益施設の維持管理費を民主的で公正な算定方式に改める。」に対する反論として、「管理費の公平な負担を貫くとすれば所有者各人の受益の程度の測定に多額の費用がかかり、それが維持管理費に加わり管理費が上がる」とし、さらに「定住者は受益度が高いので管理費の負担額は現在より大きく上回る」としており、また受益度の測定作業は不可能に近いとして、管理費の民主的で公正な算定方式(平等分担)の要求を拒んでおります。

 相手方の反論は受益度の一般的な原則を単に当てはめただけのものです。しかしながら、今回の管理費の問題とは関連が有るとは判断できず、受益の原則主義を適用すべきではありません。適用すべきは管理費分担の平等原則です。

 なぜならば、本来の共益施設維持管理業務は、土地所有者各人が共益施設をどの程度利用するか、また、受益度の高い低いの如何にかかわらず行われているものだからです。当然、管理会社にしても、会社経営上、共益施設の利用不可分的な性格を踏まえた上で、最大限の受益を所有者各人が共通して受ける場合を想定し共益施設の維持管理業務や維持管理費を設定したはずです。

 したがって、その受益を最大限受けるか、一切受けないかは、土地所有者各人の全くの自由意思であることは言うまでもありません。例えて言えば、電車等の定期乗車券の様なものです。すなわち、共益施設の受益の権利は所有者各人に例外なく常に平等に存在しているということです。

 詳しく言うならば、定住するのも、長期滞在するのも、年数回来荘するのも、また、何時来荘しようが何時帰荘しようが、自己所有地の自己所有の建物の利用は各人の全くの自由であり、その受益をどう享受するかも全くの自由なのです。ですから、相手方の言う「所有者各人の受益の程度を調査測定する」必要性もなく、また、その作業が可能か不可能かの判断も無意味なことでしょう。もし仮に受益の程度の調査測定が必要だとしても、本来ならば管理規程を自社に有利に作成した唯一の当事者である管理会社が負担解決すべき問題であり、所有者各人に費用を負担転化すべきことではありません。

当地管理費で維持されてきた幹線道路が、知らない間に三社の共有道路に

 受益に関してつけ加えるならば、主幹線道路は原村に公道申請が行われ登記上は(株)Mの所有地であり、当初から当別荘地の共益施設として当地オーナーの管理費によって維持されてきたものです。しかし、1993年7月から二年間、M不動産(株)とSバス(株)の新別荘地開発道路として使用され、開発後も別荘建築業者や分譲地購入者が自由に通行する事態になっています。さらに、最近のSバス(株)の別荘地分譲開始にあたっては三社共有道路と称して広告やパンフレットにも明記しました。この行為から三社が管理分担ないしは、相手方へ管理費の支払い等の協定を締結したかが明らかに推察できます。当別荘地の重要な共益施設でありながら、当地オーナーとの取り決めも説明も一切無いまま他社と維持管理協定を締結したにもかかわらず、その内容の公開すら拒絶しております。三社で管理を分担すれば相手方の管理費用は当然減額するはずですが、この5年間私たちへの管理費軽減措置は未だになされていません。この件に関して言うならば当地の共益施設を利用して受益を一番受けているのは相手方であり、直ちに三社協定の締結内容をオーナーに公開し説明すべきでしょう。

管理費は一区画を基準とし、建物付と更地の二分類で各一律平等が妥当

 話がそれましたが、さらに続けると、共益施設維持管理業務の土地所有者各人が受ける受益の平等性からして、一軒で三軒近い管理費を負担しなければならない不平等性が生じていることを、相手方が特段の不合理はないと断ずることは困難であり、現に、相手方の常務や所長は、以前の話し合いにおいて共益施設の維持管理費について「設定がまずかった。」「平等とは思っていない。」「管理費のプロジェクトチームを作って改定に努める。」など、現管理費の分担が不平等状態にあると判断を示しております。

 以上から、建物延床面積により管理費格差がある現行方式の共益施設維持管理費の設定に不合理、不平等があるとするのは常識であり、管理費は一区画を基準とし、土地のみと土地建物付の二分類だけで各一律平等とするのが適当であると考えます。


一、年一回共益施設維持管理費の決算報告書及び共益施設大修理基金の運営収支報告書の報告義務について
 

決算の報告義務が無いとの主張は全く根拠が無い

 
マンション等の建物区分所有法や管理規約とは異なるとして「八ヶ岳中央高原M共益施設維持管理費」及び「八ヶ岳中央高原M共益施設大修理基金の運用利息」の収支明細書類及び共益施設維持管理業務明細を出す必要がないと主張する本当の理由は示されておりません。

 建物区分所有法と異なり、又関連法規が存在しないというのであれば、共有区分がない当管理契約は似て非なる建物区分所有法とは同列では論じにくく、したがって一般請負契約との解釈が相当であり、管理請負者としてオーナーから預かったお金の重要性からして、その使い道ぐらいは年度末に報告するのが最低限の義務であり、たとえ報告の義務がないとしても開示の要請が有れば、企業秘密も多少は有るでしょうから外注業者名や個人情報等は非公開にしたうえ報告すべきであります。

 単にマンション等の建物区分所有法とは異質のものとの解釈だけで報告義務はないという主張は、それを具体的に正当化すべき特別な他の主張も見出せない以上到底容認できるものではありません。

したがって、相手方は年一回、管理費等の決算報告をオーナーに開示報告するのが妥当であり義務であると考えます。


一、共益施設維持管理業務規程に基づく管理業務内容の明文化と管理会社の裁量について

 
管理業務内容や管理費の改定は管理会社の合理的な裁量であるとは一体何を基準としての裁量なのかがあまりにも抽象的であり、また管理業務内容も設定当初以来単なる項目の羅列だけで肝心の業務の包括する内容すら明確ではありません。

 相手方の主張する裁量の不可思議さの最近の一例ですが、不法侵入者を注意する立場の管理事務所の従業員や、一斉草刈りを請け負う業者である関連会社Tの作業員等が、来荘者の少ない日にオーナーの所有地に入り込み草花を踏み荒らしキノコを採るのも合理的な裁量の行使なのでしょうか?

 思い込みと裁量は違います。また、本来は有料業務として依頼した個人が処理費を負担するべきである粗大ごみ等の処理に関しても「これからは何でも金をよこせとはいいません。無料で処理します。」として共益施設維持のための管理費から処理費を捻出するとしています。このことは共益施設維持管理業務とは関係なく裁量を逸脱しています。有料業務の無料化はなおさら通常の管理業務を混乱させるだけです。

 管理の質は以前と比べ確実に低下していますが、私たちの管理業務不履行の再三の指摘により最近はやっと業務を行うようになり、目に見える管理不履行は少なくはなりました。これらはオーナーからの管理不履行の指摘があったり、調停にかけられてから急に管理業務を行うようになっただけで、到底合理的裁量とはいえず、それを合理的裁量と主張するのならば不信は募るばかりです。

 現規約の内容の曖昧さが、「管理不履行の事実は一切無い」と言う相手方の言葉になっているのでしょう。管理の実体を知っているオーナーは誰一人としてその様な言葉は信じません。ですから、私たちにも分かるような説得力のある管理業務の具体化明文化が必要で、どちらとも解釈の出来る抽象的な裁量の範囲を明確にするためにも現規程の整備を行わなければなりません。

 現在は円滑に行っているという管理業務内容を文章化するだけのことなのですから、大した手間はかからないと思います。そして、日頃の業務を明文化し業務の標準化をすることにより、業務の範囲外の煩雑な有料業務に翻弄し共益施設維持管理を怠ざるをえない状況が多々あった従来の管理方式の整備ができ、本来の健全な共益施設維持管理のための管理会社として業務に専念できるのであって、明文化することにより管理の硬直化を招くことにはなりません。

 また、私たちは管理業務の明文化標準化は業務の絶対的な基準とは捉えてはいません。管理会社がさまざまな状況において技術的な判断のもと正当に考慮し行った業務が仮に管理規程に謳っていなくても、オーナーの意見が反映された明文化した管理業務と調和していれば、業務を行うのは相手方なのですから、その裁量は是認し得るものです。


一、管理業務規程や管理費の改定、新規事項設定、業務体制の変更等は別荘地所有者と協議して決定することについて

 管理規程の改定等は全オーナーに関わる事なので全て相手方で決めるとしている現規程は、相手方の裁量の行使に於いて許される限界を超えた問題が明らかになり、管理会社としての信頼度も決して高いとはいえない今、オーナーと協議し議論を経たうえ決めることが必要となってきました。

 現規程では、私たちの知らない間に相手方が一方的に決定した不当な条項が新しく盛り込まれたとしてもその不正を正すことも出来ない仕組みになっています。現に1994年12月に管理体制の一方的な変更を押しつけた常駐管理人の廃止は、事前に察知した問題意識の高いオーナー達により初めて全オーナーに知れ渡り、その後看過することができないとした130名近いオーナーの要望さえも一切無視して決行しており、現在は常駐管理人制より数倍経費のかかると思われる宿直制に移行しています。

 また、最近の情報によるとこの夜間常駐の宿直制も管理費の値上げができなければ近々廃止する予定だということです。前回の管理費の改定においても経費節約も限界として約22%の値上げを有無を言わさず一方的に強行してきました。このことはオーナーのニーズの変化や諸物価の動向等を勘案した相手方に委ねられた合理的な裁量とは到底言えず、多くのオーナーに著しい不満を生じさせております。

 管理内容の改廃でも管理費の改定でも、協議が整わないとする相手方の危惧は、それらが相手方だけに都合の良い有利な内容ばかり考えているからに過ぎません。共益施設維持管理に関しオーナーにとって真に重要な内容であれば、その決定に対しては慎重な議論を積み重ねることが大切で、その結果民主的ルールの種々な技術的手法に基づいて協議は整い、成立するものです。当別荘地の過半数以上のオーナーで組織されている八ヶ岳オーナーズクラブは協力を惜しみません。 

                    1996年10月17日 八ヶ岳オーナーズクラブ代表 永倉 章


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