二、誰がどの程度のレベルで管理するか。その決め方の方法と対価は誰が決めるのか。
私共のように年に数日しか滞在しなくても、又、長期滞在をされる方も、M別荘地で生活するときは、快適な別荘ライフを望まれていることと思います。逆に、(株)Mから商品を販売(別荘の販売)する時、単に土地と環境の販売ではなく、快適性を付加価値として販売されていることと思います。 その快適性を維持する為に管理事務所を置き、管理者を駐在させていると理解しています。ところが、その行為自体が営利目的となった時、別荘所有者との間で利害の対立が起きるのです。 共有部分の管理には費用が掛かります。ですから、管理料を支払うことはやぶさかではありません。ところが、その管理レベルが以前より低下したり、期待値より低いと、管理料との見合いで、コスト・パフォーマンスに不満が生じるのです。その結果、管理レベルをアップさせるか、コストを下げるか(不払いにするか)のいずれかしかなく、(株)M側に要望するのですが、本来、快適性を付加価値として販売したはずの(株)Mが、それは子会社(Sリゾートサービス)の仕事としてほおかぶりし、その管理会社が別荘地所有者の知らぬところで(管理内容が)変更されていることが、特殊事態を混乱させているように思えます。また、別荘地所有者も、問題意識のレベルに差が有ってうまくまとまらないのが実情だと思います。 1996年8月 T氏
オーナズクラブニュース第五号で、すずらん平のオーナー全員にお知らせ致しました「(株)M及び(株)Sリゾートサービスを相手方とし、民事調停を行います」との呼びかけに、約一ヶ月間で58名もの予想以上のご賛同の意思がえられました。早速、弁護士と相談の上、申立書を作成し、去る7月8日に相手方の住所地(茅野市)の管轄である諏訪簡易裁判所に左記の内容で調停申立書を提出し、その結果、第1回目の調停を行う期日は7月29日に決まりました。なお、調停の最終期日まで調停への賛同者を受け付けておりますのでご賛同の意思のある方はご連絡下さいます様お願い致します。(現在調停費用は59名の均等割りで一人当たりの分担額は16000円前後です。)
調停は、お互いが譲り合い、合意することで成立します。必ずしも法律にしばられないで実情にあった解決をめざすものです。 最高裁判所事務総局の民事調停の手引きから簡単に抜粋しますと、民事調停の仕組みは、裁判官と民間人が加わって組織された調停委員会が、申立人及び相手方から事情を聴取したり、事実の調査や説得が行われ、調停委員会から調停案が示されます。話し合いの結果、双方の納得のいく解決案に合意し、調停証書が作成されて調停成立ということになります。 この調書は判決と同じ効力があり、約束が守られないときは強制執行をすることもできます。また、調停が不成立として終了した場合「調停に代わる判決」として裁判官が紛争の実情にかない関係者にとって最も妥当と思われる解決案を決定という形で示す場合もあります。この場合、双方が異議を述べない時は調停成立と同じ事になります。また、話し合いの余地が無く、調停が不成立の時(調停に代わる決定で異議が述べられた場合も同様)は紛争が未解決のまま打ち切られることがあります。この場合は、申立人側が改めて調停の申立をするか、訴訟に持ち込むことになります
今回提出した調停申立書の内容は、私共が「より住みやすく安心のできる豊かな別荘地をめざして」をスローガンに、再三再四(株)M及び(株)Sリゾートサービスに要請してきたことですが、その不誠実な回答及び行為に、今回解決策を司法の手に委ねる形になりました。いずれにしても調停の趣旨である「お互いが譲り合い、合意すること」で、いままでの紛争の早期解決を心から望むものです。
1995年10月6日 八ヶ岳オーナーズクラブ事務局 永倉 章
長野県諏訪郡原村****** 申立人 永倉 章 長野県諏訪市末広****** 右申立人代理人 縄田 政幸 長野県茅野市豊平****** 相手方 株式会社 M 代表者代表取締役 N 長野県茅野市豊平****** 相手方 株式会社 Sリゾートサービス代表者代表取締役 I 管理規程改定等請求調停事件 事件番号 平成八(ノ)一六七号 調停を求める事項の価額 金九十五万円 貼用印紙額 金五、〇五〇円 申立の趣旨 相手方等は申立人に対して、八ヶ岳中央高原Mすずらん平の共益施設維持管理業務規程及び同共益施設大修理基金規程に関し、 一、管理規程に基づく共益施設の維持管理費を民主的で公正な算定方式に改める。 二、管理業務規程の改定、管理費改定、新規事項の設定及び業務体制の変更等は、別荘地所有者との協議に基づいて決定する。 三、年一回、共益施設の維持管理費の決算報告書及び共益施設大修理基金の運営収支報告書を別荘地所有者に公表する。 四、共益施設維持管理業務規程に基づく管理業務の内容を具体的に明文化する。 との調停を求める。 紛争の要点 一、当事者 1、申立人は、1983年八ヶ岳中央高原Mすずらん平(以下「すずらん平」という)の別荘地を、相手方株式会社M(以下「M」という)から購入し、1987年から同所に定住している。 また、1994年12月、すずらん平の別荘地共益施設維持管理業(以下「管理業務」という)に対して問題を感じる別荘地所有者が発足させた八ヶ岳オーナーズクラブ(以下「クラブ」という)の事務局をしている。すずらん平は、419の区画に対し約380人の所有者(共有者も含む)がいるが、このうちクラブには、205区画197人の所有者が入会している。今回の調停で、申立人が相手方に対して求めている事項は、クラブの会員の総意である。調停の申立自体に対しても、わずか一ヶ月の間に58人が賛同者となる意思をよせている。
2、相手方 M Mは、すずらん平別荘地の事業主体であり、別荘地の売主であるとともに売買契約上すずらん平の管理業務についても責任を負うものである。
3、相手方株式会社Sリゾートサービス 株式会社Sリゾートサービス(以下「管理会社」という)は、売主であるMの子会社であり、すずらん平の管理業務を、別荘地所有者から管理費を徴収して行っている。 二、紛争のきっかけ 1、管理会社は、1994年12月下旬ころ、別荘地所有者の多数の反対にもかかわらず、それまでの常駐管理人を配置転換し、別荘地分譲当時からの常駐管理人体制自体を廃した。以降、昼間は3名、夜間は1名の管理会社の社員が交替で管理事務所に勤務するようになった。
2、その結果、別荘地所有者が心配していたとおり管理業務の低下及び不履行が顕著になった。 三、変更後の管理業務の状況 1、管理会社の社員は、別荘地管理のノウハウを身につけておらず、とうてい「管理を商品」とする管理会社の業務とはいえない状況にある。
2、管理の低下及び不履行の事実は枚挙にいとまがないが、たとえば、次のような事実がある。 ・ゴミステーションの掃除をしないため悪臭が発生し、不衛生なまま放置した。 ・ゴミステーションの周囲の除雪が不十分なため凍結により危険な状況になった。 ・道路の除雪が満足に行われていないため別荘地内でスリップ事故が何件も発生た。 ・道路の除雪の際、別荘地所有者の駐車場入口に除雪した雪の壁を残しており駐車に困難をきたした。 ・消火栓の回りの除雪をしていなかった。 ・街路灯の保守点検がなされておらず、切れたままのものや日中も点灯したままの箇所が、長期間放置されていた。 ・側溝や沈砂桝の管理が不十分なため落ち葉や泥などがたまり、多雨や雪解け時に水が溢れて別荘地内に流れ込み被害を何カ所も発生させた。 ・別荘地内の巡回は、すべて回っていないことが多く、巡回時間の定めもなく来荘の有無も把握していない。 ・日中配置されている社員ですら業務を依頼しても頼りなく、管理業務につきわからないことが多すぎる。 ・とくに宿直で事務所に泊まるだけの社員は、単に泊まっているだけで管理業務についての知識を持たないものすらいる。 四、別荘地所有者の要請に対する相手方の対応 申立人等別荘地所有者は、相手方等に対して再三改善の要望を行い、当事者間の話し合いによる自立的解決の努力をしてきた。昨年春には本調停の趣旨と同様の内容の要望書を124名の別荘地所有者が提出したが、誠意ある回答は得られなかった。昨年10月には、相手方等の親会社であるM不動産株式会社に対しても同様の要望を行ったが、相手方等と話し合って解決されたいとの回答しかなかった。管理会社の社員は、その直後だけは、真面目に管理業務をしているような姿勢をみせたが、それも申立人等の見ているときや、目立つ場所だけであり、申立人等が見ていないとすぐに引き上げてしまう事も多々あった。 五、管理費について 右のとおり管理会社は、管理業務を誠実に履行しているとはいえない状況にある。ところで、管理業務規程に基づく維持管理費は、一区画の土地の面積に加えて、建物延床面積の広さに応じて金額が算定される仕組みとなっている。しかし、管理会社が行っている管理業務と別荘地所有者の建物の床面積とは、何らの合理的関連性もない。従って、合理的で公平な管理費の算定方式を別荘地所有者との話し合いを通じて定めることを求める。 また、管理費の決算報告及び共益施設大修理基金の運営収支報告は、これらの費用を負担している別荘地所有者に対する義務というべきであり、少なくとも年一回はこれらを報告し説明するべきである。 六、これまで相手方等は、すずらん平の管理業務体制の変更や管理費の改定につき、別荘地所有者との協議もないまま一方的に実施してきた。しかし、管理業務の内容は別荘地所有者の委任によるものであるから別荘地所有者との協議に基づき決定されるべきである。 七、今回、管理業務の低下及び不履行が顕著になったが、管理会社が、管理業務規程に基づいて、本来通常管理業務としてなにを行うべきか、この際具体化して明文化することが、ぜひとも必要である。 添付書類 一、土地売買契約書の契約条項部分(甲一) 一通 一、共益施設維持管理業務規程(甲二) 一通 一、共益施設大修理基金規程(甲三) 一通 一、八ヶ岳オーナズクラブニュース一ないし五号(甲四ないし八)各一通 一、商業登記簿謄本 各一通 一、委任状 一通 1996年7月8日 右申立人代理人 弁護士 縄田政幸 諏訪簡易裁判所 御中