自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第63号》2009年7月13日発行
◆いろいろな里山の出来事(ヘビ騒動)
◆毎朝5時頃、ヒグラシと小鳥のさえずりで目が開きます。そのまま起きることはありません。また眠りにつきます。2階寝室の目の前に山桜の木があります。距離で言うと7メートルくらい。小さな窓を開けっ放しにしてあるので、そのまま聞こえてきます。一斉に鳴くのでたまりません。夏は寝不足になります。


  ◆いろいろな里山の出来事

《ヘビ騒動》


雨も上がったある日、昼ごはんの少し前台所で冷蔵庫の中を見ていたら、外でドサッ!と何かが落ちたようなはたまた崩れ落ちたような大きな音がしました。

かなり大きな音だったので、「また猿か!?それとも倒木?」と思い、急いで外に出て、周りを見ましたが、家の周りには、何かが倒れたり落ちたりした形跡はありません。(長雨の後、枯れて腐った木に雨水が吸い込まれ、次第に重くなり、木や太い枝が倒れたり落ちたりすることがよくあります。)そして、猿もいるような気配も、全く感じません。

見回りの最後に、林に近い倉庫の裏に回ってみました。するとそこには古いスズメバチの巣が転がっていました。半分くらいが割れて落ちた衝撃で大分壊れています。

何時壊れてもおかしくない7〜8年前の直径50センチくらいのものですが、キイロスズメバチの後、クロスズメ(地蜂)が巣を作り、そのあとヤマガラやシジュウカラがその巣の上に上手く入り込み営巣して、数年に渡り小鳥たちが再利用していたものです。

な〜んだ、これが落ちたんだ。でも随分大きな音がしたもんだ。と思い、この巣の有った倉庫とポンプ小屋をつないでいる屋根の上を見ました。そう言えば、今年もここにシジュウカラが巣を作っていたけど……。

そこには落ちて崩れたもう半分のスズメバチの巣が無惨な姿で潰れていました。さらにその周りには小鳥の羽らしきものが散乱していました。中からはガサガサ音がしています。さらにモコモコと動いています。

まさか、小鳥?

崩れたスズメバチの巣の端から何かが出てきます。よく見てみると、それはヘビ! 「青大将」です。どうやら小鳥を捕りに行って巣ごと落ちたようです。何か尻尾がやけに多い感じに見えます。それもやけにでかい!みんな2メートル位かそれ以上!そして、鳥を飲んだのか、やけに太い。

2匹?いや3匹? 否、小さいのもいるぞ!と、どきどきしながら観察を始め
ました。

崩れた巣で3〜4匹が蠢いています。2匹は倉庫の垂直な壁を半分まで登り出しています。その上はスズメバチの巣が有った方向です。ヘビが垂直の壁を地上を這うように登る姿は異様な感じで、ぞくっとしました。たとえ2階でも窓が開いていれば、彼らは難なく室内に入って来ることを想像したからです。

青大将はヤマカカシなどに比べ、かなり温厚な部類です。しかしながら、今回は大きすぎて威圧感があります。それも3匹。親子か、夫婦か兄妹かは全く見分けることが出来ません。

さあ、どうしよう!?妻は、下の畑にいるので、とりあえず一人で作戦会議。

ここに住み続け何処かに行くことはない。コテージに来客があるので早急な対処が必要。ヤマカカシやシマヘビなどは枝切りばさみで掴んで、遠くにリリースしているのですが、今回はかなり太くて掴むことは困難。とういうことは、細くて捉えやすい頭か尻尾近辺を挟み、下の方の川へ行って流す。等々、色々と考えて、いよいよ捕獲作戦開始。

とりあえず、中間ぐらいの青大将をゲット。
頭から50センチぐらいのところをどうにか掴み、ぶら下げながら家から300メートルくらいの場所で、川に流しました。ともかく重く大きく長い。

次の青大将は、この中では一番大きい。仕損じるといやな結果になる。

そんな時、妻が畑から帰ってきたので状況を説明し、急遽ヘビ退治の応援と相成りました。

位置的に無理があったので、尻尾近くをはさむようにしたのですが、これが大失敗。ヘビの鱗みたいなものは、魚と同じで、狭いところにはいられると、後に引くと引っかかるので、引きずり出すのは困難だったのです。

どんどん壁と屋根の隙間に入っていきます。しかしその先は倉庫のドアの上。妻に、枝切りばさみで挟んだ状態を保っていてもらい、下に廻り、他の枝切りばさみで頭近くを挟み、やっとのことで引きずり出しました。出す方は、わりと簡単でしたがヘビは傷だらけ、かなりのダメージです。

そしてこのまま、先と同じように川へ放ちました。

もう1匹は、騒動の中、いつしか屋根から消え、小さい(と言っても1メートル位かそれ以上)ヘビもいなくなりました。約1時間余りの捕獲作戦が終わり、一気に肩の力が抜けた感じです。しかし、これで終わりではなかったのです。

次の日、薪小屋の薪の上でひなたぼっこをしている青大将を発見しました。これも大きい。最後の1匹か?

まさか?そうです。まさかでした。昨日のヘビが帰ってきていたたのです。頭下の傷から見ると最初の青大将です。カエルもそうでしたが、「ヘビは遠くに捨ててもまた同じ所へ帰ってくる」ということは本当でした。

嗚呼、人間の勝手な都合と行為を許してください。そしてまた川へ。
今度はもう戻って来ることはありませんでした。

そんなこんなのヘビ退治でした。


【編集後記】

今年もホタルが我が家の庭に出始めました。いつ見ても幻想的でなにか心が落ち着きます。やっと夏が始まったんだなというぬるい感傷にも耽る時間が保てることが心の癒しになるのでしょうか、幼い頃の感覚が蘇ります。人間が保護やらこすれば良いなどと自然を分かったつもりで何かすればするほどダメになっていく自然もあれば、何もしなくても長い時間をかけて逞しく再生する自然も、またあるということ何となく分かる気がします。
母屋にあったスズメバチの巣。これと同じぐらいの巣が倉庫の西側妻壁の上にあった。

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