自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第59号》2009年1月21日発行
◆いろいろな里山の出来事(ヌルデに集まる冬の鳥たち)
◆田舎暮らしと病院(悲喜こもごも--入院生活初体験2の巻-完)
◆今年になり、19日に二度目の雪が積もりました。10センチぐらいでしょうか、次の日はまるで春先のような気温だったのでちょっと雪かきをするだけで、その部分は数時間で融けてしまいました。しかしながら水分の多い雪なので、除雪には重い分少し手間取ります。夜は融けた部分が凍るので、気を抜くと滑ります。坂道なので私も滑り、愛犬たちも後ろ足が転けて尻餅をついていました。



  ◆続編-いろいろな里山の出来事

《ヌルデに集まる冬の鳥たち》

この時期、小鳥たちが食べる山にある木の実は限られてきました。

周りには松ぼっくりの種やドングリの実などもありますが、これはもっぱらリスやカケスなどが食べています。冬の我が家の庭にも、ヤマボウシやバラ、ウドやヌルデ、ヤマハギ、数々の雑草の実などが有りますが、ほとんど食べ尽くされ、今はヌルデの実が残るだけになっています。
あまり美味しくはないのでしょうか、いつもヌルデが最後になります。(ヌルデはウルシ科。実は塩麩子=えんぶしという咳や下痢の薬になる)

このヌルデには、今まで来なかったアオゲラも今年は食べに来ました。大きな体で留まるので、枝も、その先端になっている実の房もかなりたわみますが、反動をつけながら上手についばんでいます。

他には、ヤマガラやシジュウカラ、ヒヨドリ、エナガにジョウビタキなどもこのヌルデを目指して飛んで来ます。

みんな一応に細い房にとまり、ぶら下がりながら器用に実を食べています。時々落ちそうにもなりますが、羽があるので大丈夫、先端についているわずかな実も、羽を羽ばたかせながら必死です。

ここ数日で、房状にたわわに実っていた実もだんだん少なくなり、あと数粒を残すだけになってしまい、その後小鳥達はこの木には来ません。



   ◆田舎暮らしと病院(悲喜こもごも--入院生活初体験2の巻)

次の日、朝7時ごろ看護師さんに起こされました。
定期検温と血圧と採血です。私と違いよく眠れたことと思われる他の3人はもうとっくに起きていました。

7時40分ごろから食事の時間です。私はまだ点滴。茅野北さんは今日手術なので食事はありません。

11時頃茅野北さんは手術室に向かいました。私は11時40分頃に急に胃カメラでの検査を行うことになりました。

十数年前に一度この検査を受けたことがあり、その時の気持ち悪さを思い出してしまいましたが、検査室に車椅子で運ばれて行く途中「医学はシンポして居るんだ、今回はきっと楽だぞ。」と自分に言い聞かせ勇気を奮い立たせ検査室に入りました。

検査が終わり、私はこう思いました。「医学はまだシンポしていない。」

この検査、私は結構我慢しましたが、知人は検査の時、あまりの苦痛で押さえている看護師さん数名に「蹴り」を入れてしまったそうです。その経験が有ってかどうかわかりませんが、私の場合、看護師さん達は、背後に陣取り、苦しむ私に背後から声をかけたり、肩を叩いたりしていました。

検査結果、十二指腸潰瘍、穿孔はどうやら無いようです。キャンサー(悪性の腫瘍)もなく血液検査も正常値近くになり、炎症も治まりだしたようです。

結果がわかるとすっかり打算的になり、急に退院したくなりました。点滴をぶら下げたまま、担当医に話をしました。
「仕事も有るし、自宅療養でませんかね、今すぐでも帰りたいのですが。」
担当医はあきれたというか、少し驚いた様子で
「その体で今日は無理だ。様子も大体わかったので、そういうことなら前倒しで治療を進めてみる。」とのこと。

次の日の昼過ぎ、ナースセンターの前で偶然にも担当医に会いました。私は「点滴が痛いので外してください、お腹の痛みも大分とれたのでもう食事も出来そうです。残りの仕事もあるので自宅療養したいので……。」と訴えました。

と、医師はやや疑いを持ったような困った顔をしながら
「う〜ん、点滴外すと、そのままどこかいっちまいそうだな。」

私は「仕事が出来ないことがストレスにもなるので、それが起因してまた潰瘍が出来るかもしれないから……。」などと、有ること無いことを並べ立ててさらに懇願しました。

次の昼、一通りの検査がおわり、願い通り点滴が外されました。
「やったー!」重圧から解放された気分です。
点滴が無くなったので、夕方から重湯の食事が始まります。

そうこうしているとき、妻が来て仕事で画像を送らなければならないと言ってきました。自宅に戻らなければ作業は出来なません。取りあえずノートパソコンにデーターを移して持ってきてもらい、病院内で作業をすることになりました。

こんな時の最強移動PCツール、MacBooKが役立ちます。しかし、無線LANの無い病室内からはネットには繋げません。事務局に相談して、事務所内のサーバーを借りてネットに繋げることになり、昭和初期の建物のような感じがする旧館の事務所にて作業をすることになりました。

自宅の山とは違い、数十倍速いネット環境が整っています。病人が何をやっているんだという事務員さんの冷たい眼差しを背中に受けながらどうにか作業完了です。助かりました。

病院内に無線LANが完備していれば病室で仕事が出来そうですが、もし出来てもやはり止めておきます。でもこの速さでネットが繋がればテレビを見ているより良さそうな気がしました。

そんなこんなで、入院から一週間後の朝、やっと退院です。いやはや、短い期間でしたが貴重な体験でした。まだ、薬の治療は継続中ですが、体重は減ったものの、数十年続いた、腹部の訳の分からない痛みから開放され、同時に腰の痛みも取れ、徐々に体力も体重も戻り快調な毎日を過ごしています。(完)


【編集後記】

世界にとっても米国にとっても大変な時期に、今朝アメリカで新しい大統領が誕生した。9年前の10月末、大統領選の最中にアメリカに行ったことがあった。当時の大統領は今度のオバマ氏と同じ民主党のクリントン氏。次期大統領候補は、イケイケドンドンの共和党のブッシュ氏と環境問題を全面に押し出していた民主党のアル・ゴア氏。

投票日前ひょんなことで、ホワイトハウスを見学した。広く、見事な美術品で装飾された部屋など色々案内され、執務室につながる廊下を歩いているとき、ふと外を見ると、クリントン氏が一人広い庭でパターの練習をしているのが見えた。周りには警護も居ない。次は無いということと引退挨拶の外交周りを終えた安堵感からなのか、緊張感のないラフな姿勢はなにかとても不思議で少なからずも大陸的な優雅さを覚えた。

政権移行期間のブッシュ氏の心の内はどうだったろうか分からないが、私は未だに取材者から靴を投げられた姿が脳裏に焼き付いて離れない。その事で何か全てが語られたように思う。

イラク撤退、地球温暖化を防ぐ、豊かな者のみを優遇しない…など米国の再生を就任演説で語ったオバマ氏。もちろん様々な問題が直ぐに解決できるとは限らないが、世界を含め経済・環境・争いなど歴史的な転換期を迎えようとしていることだけは確かだと思う。もっとも日々の生活に追われている私には、この世界的な変革がスタートしたとしても、自分のスタンスで今までの暮らし方の中へ有りの儘に受け入れながら、徐々に昇華させていくしかないと思う。
野鳥たちは細い枝にぶら下がったりしながら器用にヌルデの実を食べる。
中央の赤いトレーナー(小さすぎる?)がクリントン氏。
レジデンス南側の前で記念撮影。

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