自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第53号》2008年8月18日発行
◆続編-いろいろな出来事(オムニバス)


◆数ヶ月ご無沙汰しておりましたが、暑さの中、どうにか生活しています。来客が多かった連休も終わり、やや静けさが戻ってきましたが、8月の週末はまだまだ単発的な延長戦が2回あります。今年もまた、知らない間に夏が終わりそうな気配です。



  ◆続編-いろいろな出来事(オムニバス)

《使い回し》

使い回しといっても、巷で流行した人間社会の作為ではなく、汚れのない自然界のキセキレイとスズメたちの「巣」のことです。

昨年から、キセキレイがコテージの妻壁にある明かり採りの小さな窓の枠に巣を掛けます。ここは地面から3メートル以上も上なのでヘビなどの外敵がなかなか来られない(たぶん)場所です。雨も当たらず、東側が道路を隔てて桧林という子育て最適の環境。とても良いところを見つけたようです。

今年もまたここから無事に4〜5羽が巣立っていきました。

以前にお伝えした我が家の人工の巣箱に営巣したスズメたちは、その後、巣穴近くまで巣材を詰め込み、それが過ぎたのか、せっかく産んだ卵を巣穴から落としてしまいました。昨年の巣材も残っていましたが、深さは15センチ以上有るので、そこまで巣材を集めるには大変だったことだと思います。しかし、過ギタルハ及バザルガ如シだったようで、今回は張り切り過ぎです。

というわけで、スズメの子育ては失敗に終わりました。しかし、そんなことでめげるスズメたちではありません。

キセキレイの順調な巣立ちを見ていたかのように、その巣の周りに近づく事が多くなりました。まだキセキレイ親子が巣に居るのにです。

そして、ついにキセキレイたちが留守の時に、巣の破壊工作が始まりました。破壊といっても、まるっきり壊すのではなく、ベースは残しながら余分な物は捨てているといった感じです。そして、何処からか自分たちの好みの巣材を運び込み、ついにスズメ仕様の大雑把な巣を完成させてしまいました。

今度は失敗は許されないと思ったのでしょうか、近くにいるキセキレイを執拗に追い払い、新たな子育てがはじまりました。

数週間後の朝、すぐ上の電線にスズメたちがとまっています。色の薄い一回り小さなスズメも数羽、人間を警戒するようにチュンチュン鳴いていました。

鳥の世界では巣の使い回しが功を奏しうまくいったようです。(キセキレイにとっては迷惑だったようですが)


《わさびとイノシシ》

我が家の下の沢の山側に湧き水が出ている所に、小さなわさび棚があります。
そんなには多くない水量ですが、確実に少しずつ湧き出しています。そのためか、ここの周りは鹿の足跡などがいつ行っても多数ついているので、野生動物の水飲み場としても利用されているのだと思います。わさびも毎年大きくなり、そして下流に向かって増えだしてきました。

ある日地主さんが「わさびが全部ひっくり返され、めちゃめちゃになっていたのでまた植え直しておいたが、ありゃどうもイノシシの仕業のようだのう。」
というので、早速見に行くと、勢いよくこんもりと育っていたわさびが跡形もありません。そこには地主さんが植え直したわさびがぽつぽつと数カ所有るだけ。これで再生してくれるのだろうかと思うほど壊滅状態です。

イノシシはこの時期、田圃でもこの様なことをします。狙われた田圃は同様に壊滅状態になりますが、稲の成育期なので再度植え直せば、手間は掛かりますが、ばどうにか再生してくれます。

ここのワサビは春から初夏にかけ葉や花を天ぷらにして幾度と無く楽しんでいました。そのうち根わさびで食べたいと思っていたのですがこれではダメです。

下流にもう一ヶ所、天然のわさびが自生しているところがあるのですが、この時期藪のようになっていて行くことが出来ません。たぶん、ここもやられてしまったと思います。残念ですが仕方有りません。

昨日、植え直して貰ったところに見に行ってきましたが、再度荒らされて見る影もありませんでした。近づいて良く見てみると、広範囲に根から新たな芽が伸び出していました。このままで成長すれば来年も楽しめそうです。


《猿追いとはぐれ猿》

裏山の頂上から複数人の大声が聞こえてきます。
「うぉー、うをー、ウォー!」
リズミカルなその叫び声はだんだん左右に広がり数百メートル幅の声の帯になって山を降り始めました。

農家より駆除の要望が多い猿の追い出し作戦です。

その声が我が家に近づくにつれ、周りの林がざわついています。すると数頭の鹿が、近くの藪から飛び出し、道を横断してどんどんと前の林に飛び込んでいきました。
「なんだ、猿じゃない」と思い、ベランダでその様子を見学していると声の帯が我が家を通過し始めました。姿を現したのは十数人のオレンジ色の服を着用した猟師と猿追いの一団です。林の中を50メートル位の間隔で散らばり、各人声を張り上げながら、下の沢におりていきました。

「いるか!」「いねいぞ〜!」
そんな会話もリズミカルで大声です。

一団が去った後、しばらくして沢の奥の方で猟銃の音が聞こえてきました。続けて数発の銃声…。

4〜5年間、ロケット花火や電気柵、檻の罠などで対策していたのですが一向に効果はなく、むしろ猿が増加し始め、農作物の被害も深刻な状況になってきたので本格的な駆除をこの地域でも行うことになったとのこと。

あたりが静かになった夕方、愛犬達をつれて裏山に行って見ると、松林の奥の木の上で、猿が鳴いています。
「なんだ、まだ居るんだ」と思いながら夕飯の準備に戻りました。今日はコテージにお客さんです。

コテージのお客さんとの食事を終えベランダに出て雲の多い夜空を見ていたとき一台の車が通りすぎ、しばらくして前の松林で猿らしき鳴き声が……。
ひょっとして夕方見たはぐれ猿?

次の日、隣の家の人が「昨日の夜家に猿がいましたよ!」と報告に来ました。

その家の人が夜返ってくると、家の周りに人影らしきものを奥さんが発見。「だれか人がいる!」とご主人に伝え、直ぐにご主人が行ってみるとその人影らしき何者かが「キーキー」と言いながら逃げ、木に登ってしまったそうで、姿は見ることが出来なかったようです。が、それは、姿形から紛れもなく猿だったそうです。(その前に鳴き声で猿とわかったようですが。)

偶然にも、その時間にコテージのお客さんとベランダに出て、月を見ながら夕涼みをしている最中の出来事で一部始終をみんなで目撃(聞撃?)していました。

普通なら群れで行動するのですが、この猿はどうやら一頭のようです。群れなら猟師の猿追いですぐに発見されて駆除されてしまいます。群れから離れた猿は、対人間にはなかなか賢く経験も豊富です。きっとこの猿は、猿追いの猟師が通り過ぎるのを木の上で恐怖心を抑え、声も出さずにじっとしていたことでしょう。

その後、我が家の畑のトウモロコシや、ようやく鞘が膨らんできた枝豆を荒らし、いまは神出鬼没、猿追いにもめげずこの辺の畑で好き放題しています。妻は丹誠込めて作った大事な農作物を荒らされ、頭に来ながらも早期収穫におおわらわです。半ば諦めムードですが、今度とっちめてやるぞと息巻いています。


【編集後記】

5月から7月にかけメルマガの発行が出来ませんでした。さぼっていたわけでもないのですが、ともかく、書く暇もなく多忙だった為です。本職のGデザインの仕事に被るように折込チラシのプレゼンが続き、そこに毎日入稿する不動産関係のDTPのオペレーション作業が重なり、睡眠もままならない状態が1ヶ月半。夢にまで仕事が追いかけてきて、結果体調不良に陥ってしまいました。その後仕事キャンセルして半月以上静養していました。その間、いろいろな人たちから元気の素を貰いながら内面も励まされ、やっと体も復活の兆しが見えてきたところです。はらたいらのような男の更年期障害かどうかわかりませんが、体は正直。この状況から早く脱出したいものです。

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