自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第13号》2006年2月22日発行
◆ いなかのSOHO(素人が建てるログハウス その1)
◆ 四季の旬なおはなし(飛び込む小鳥)
◆ 今週の話題(サルよけの電気柵)
◆いなかのSOHO

今号からのお話は「素人が建てるログハウス」です。

 ●昔の人はすごい

素人でも造ることができるのが、今回選んだアーリーアメリカンタイプのログハウスです。

モデルハウスを見に行ったとき、ログハウスの輸入業者の社長の奥様に「木工をやっている感じですね。」と言われました。しかし、当時は木工はあまり好きではなく、やったこともありません。せいぜいホームセンターで買ってきたカラーボックスを組み立てるくらいで肝心な道具も金槌と手ノコぐらいで、他にはこれといった道具は持っていませんでした。

道具は何もないし、技術もない。そんな無謀なところから、憧れだけでセルフビルドでログハウスを造るという構想がはじまりました。そしてこのログハウスに巡り会ったのです。

もともと、アーリーアメリカンのログハウスのスタイルはアメリカの西部開拓時代から生み出されたものです。特に今回のログハウスは他の国には無いログ組みとデザインです。

西部開拓時代、新転地をもとめ森を開き、畑を作り、定住し始めたころ、さまざまな危険からから身を守るために、すぐ建てられて、堅牢で、耐久性のある家を求めた結果、全ての条件を満たすこのタイプのログハウスに落ち着いたといいます。

当然の事ながら、開拓の人々のグループの中には今のような工務店や建設会社があったとは思えませんが、様々な生活スタイルをもったヨーロッパからの移民の人々の中には、きっとログハウスの知識が入っていたのでしょう。

べんりな道具も揃っていたわけでもなく、幌馬車生活から、最小の道具を駆使して、仲間や家族で知恵と力を出し合いながら、危険が迫る中で急いで家を造り上げたことと想像できます。

もちろん、住みごこちや見てくれなどどうでも良かったに違い有りません。隙間には森に生えているの苔を詰めたといいます。まずは命を守るための安全な家。自分たちで切り開いた森の木で自分たちで建てる。ログハウスが西部開拓時代の建物として定着するこれ以上の必然性はきっとなかったと思います。


  ●最低限の道具を揃える

日本でも、山奥の広大な土地で道作りから始めて、森を開いてその木でログハウスを建てている人たちも中にはいます。わたしは開拓者ではないので、当時の彼等みたいな芸当はとても真似できませんし、もちろん自由に開拓できる広大な土地やそれに費やす時間も有りません。

しかし、ある程度のキット化されたログハウスを、整備された土地に建てるくらいなら、彼等の苦労を思えば、どうにか出来ると思います。

最小の道具と簡単な技術で。現代では、さらなる合理性や便利性を求めたログハウス造りになると思いますが、でも、ログハウスそのものはいつの時代でも変わりません。

というわけで最低限の道具を揃えることになりオープンしたてのホームセンターに行きました。大型店舗出店ということで地元の商店ともめた大型店です。このホームセンターにはいろいろな商品や工具が揃っています。地元の商店が出店を反対するわけです。食べ物以外はほとんどのものがここ一カ所で間に合ってしまうのですから、小さなお店にとっては脅威以外のなにものでもありません。

まだログハウスの建設は半年以上も先のことで、どんな道具が必要かがわかりません。半分は目の保養です。とりあえず小さな丸ノコ、電気カンナ、電気ドリル、延長コード、3本セットのノミ、金づち、石頭ハンマー、そしてベルトの付いた釘入れ、メジャー。こんなものしか買いませんでした。

まるで、工作好きな人たちの日曜大工セットです。それでも電動の道具などは初めて触るものばかりなので、買った本人はだいぶ気に入っていました。でもこんなものだけで、本当に家ができるんでしょうか?

  ●チェーンソーはいらない?

ログハウスというと、先ず最初に思い出す道具は、チェーンソーです。

でもこのアーリーアメリカンタイプのログハウスを建てるには、あまり必要がないと言われました。このログハウスの丸太の形状は、太鼓挽きといって、35センチぐらいの太さの丸太を横に寝かせて製材所で上下を切り落とし、厚さ18センチに加工したログです。

その加工までがログキットとして製品化されています。そのため壁として重なるログ同士の面は平らになっているので、スクライビングなどの難しい加工はいりません。現場での加工はコーナーの突き合わせ部分とログのつなぎ部分です。

そこに V字型のノッチを加工したり、長さを揃えて切ったりする作業なので、大きな丸鋸で代用できるということでした。その18センチの厚さの丸太を一回で切る事ができる大きな鋸をそのログの輸入業者から貸りることになりました。

これでだいたいの道具が揃ったことになります。
あとは必要に応じて、借りるか買い足していくつもりです。
(つづく)


◆ 四季の旬なおはなし《飛び込む小鳥》

まだ早いんじゃないのと思うぐらい、森の小鳥たちが活発に動き出している。先日も数十羽のシジュウカラとヤマガラの集団が家の前の林で求愛行動のような追いかけっこをし始めた。その日は気温が春のようだったので、気温に敏感な気の早い鳥たちが勘違いしたのは無理はないとは思ったが、ちょっと不思議な感じを覚えた。

次の日はシジュウカラの仲間であるヒガラが、ドアのない開いている入り口から我が家の風除室に入り込み、しばらく出口を求めて飛びまわっていた。風除室の出入り口はかなり大きいのでそこから出ればよいと思うのだが、奥の窓や天窓から出ようとしていつもそこでバタバタして、しばらくしてやっと出ていった。

鳥が風除室に入って出られなくなったことは今までも多々あったが、ことしは時期が数ヶ月以上早い。数日前に、ひさびさの雪が降ったものの、やはりこの時期としては暖かい日が続いている。シーズン前には鳥たちがガラス窓へ激突しないように網戸を取り付けてのいるのだが、このままの気候が続くと、今年はかなり早く網戸を取り付けなければならないようだ。


◆ 今週の話題《サルよけの電気柵》

今週末に、サルよけの電気柵が張り巡らされる。景観から言えばない方がいいに決まっている。しかし農家は鹿や猪にも有効だと諸手をあげて導入に踏みきった。市からの補助もだいぶ出るようで、資材はすべて市の予算から出される。

昨年暮れに柵杭は設置されたのだが、杭の設置場所の選定にトラブルがあり延期されていた。その間、サルは二度姿を見ただけで、例年のような賑やかさはない。最近は地元の猟友会が山に入ってサルを追い出す空砲を打っているようだ。

下にいた集団は、発砲音が功を奏して山に帰ったようだが、どうやらもう一つの集団は、ここより上にいるらしい。そうなると南アルプスから来ている今のサルの集団は、電気柵を張り巡らすことにより出られなくなり、この中に定着してしまう。

地元では、関係農家が総出でサルを追い出すといっているが、地域を絞って追い出し作戦を練っても、自然の山は広い。そして経験を積んだサルは行動力があり賢い。今回の作戦はどちらに軍配が上がるのだろうか。


【編集後記】

ここ数日、昔のLPレコードの整理をし始めた。だいぶ手放したりしたので枚数はそんなに無いが、お目当てのレコードを探すとなると結構手間取る。懐かしいレコードが出てくると解説を読んだりするのでなかなかはかどらない。お気に入りの曲は、古いレコードプレーヤーを引っ張り出してきて、イコライザーを介してコンピューターにデジタルで録音している。ジャンルはクラシックからフォークやロックまでハチャメチャだが、若い時代に聞いた曲はその時の情景がおぼろげながら徐々に蘇ってくる。昔の音楽をきっかけとして、当時の体験の断片的な悲しさや楽しさが、今となっては心の安定剤のようなものになってきた。

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