自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第12号》2006年2月15日発行
◆ いなかのSOHO(素人でも建てられるようなログハウスを選ぶ その3)
◆ ログハウスのメンテナンス(屋根の掃除)
◆ 今週の話題(闇に紛れるキツネたち)
◆いなかのSOHO

今回のお話は「素人でも建てられるようなログハウスを選ぶ」の続きです。

 ●出会いのアーリーアメリカンタイプ

その広告にあったのはアメリカの西部開拓時代を彷彿とさせるアーリーアメリカンタイプのログハウスです。「やった〜!こ、これだ〜!」と、心の中で叫びました。長年思い描いてきた、ログハウスとの巡り会いの瞬間です。

その広告には、夫婦とおぼしき若い男女が、丸太を持ち上げようとしている写真がでかでかと載っていました。ログハウスを楽しそうにセルフビルドしている様子ですがどう見ても、プロには見えません。

一瞬、先を越された!と思いましたが、別に知り合いでも何でもないので先を越されたも越したも無いということに気が付き、同じような考えの人たちも居るんだと自分を納得させました。しかし、こうなるともう気持ちが納まりません。

早速、そのログを扱っている会社に電話したのですが、資料を送るには切手が欲しいと言います。すぐに、500円切手を同封して資料請求しました。

 ●モデルハウスを見に栃木県の足利へ 

数日後、分厚い資料が届きました。

開けてみると、数ページのカタログと、モノクロコピーのタイプ別のログハウスが30プラン以上同封されおり、小さなものは8坪くらいから、大きな物は100坪以上のものもありました。すべて平面図とイラスト付でコピー代金だけでも500円は超してしまう量です。

その中で、間取りがちょっと違いましたが、金額も大きさも希望通りの、ハートランドというタイプのものがありました。すぐに連絡を取り、間取りの変更は可能かどうか聞きました。すると「あくまで基本プランなので、構造上の問題がない限り、間取りの変更はもちろん自由でいくらでも可能です。」とのこと。

マスタープランはもう何十回と描き尽くしているので、その希望に今回のログハウスが合うかどうかの問題です。実際のモデルハウスを見てから話を進めたいと思い、早速出掛けてみることになりました。

場所は、いままで一番遠い栃木県の足利市と言うところです。どう見ても車で片道5〜6時間は掛かります。それでも一度くらい見ておかないと後悔します。仕事を終えて、夜遅くというか早朝、すいている東名高速を飛ばし、朝靄の中、ビル街がかすんでいる都内を抜け、一路足利へ。

高速を降り栃木県に入り足利市を目指していきましたが、いけどもいけどもみわたすかぎり周りは畑や田圃が続いています。同じ景色なので今どこを走っているのかもさっぱりわかりません。20数年前はカーナビや携帯もない時代ですので、公衆電話と見にくい道路地図、そして道路標識や電柱に書いてある地名だけが頼りです。そのすべてを駆使して、どうにかたどり着きました。そこは足利駅のすぐそばにありました。渡瀬川も近くに流れています。

これはどうみても単なる町中の製材所です。肝心のログハウスは見当たりません。事務所に行くと、社長の奥さんと専務が出迎えてくれました。ログハウスについて熱く語った後、モデルハウスに行くことになりました。建築基準法の関係で狭い土地だと町のど真ん中には建てられないそうなので広い土地の山中に建てたということです。


  ● 感 動 で す。

事務所から約30分。足尾銅山に行く途中にモデルハウスが有りました。

カタログで見るより迫力があり、カナディアンタイプと比べれば質量感は少ないですが、それでも使ってある丸太は直径が30センチ以上なので十分ログハウスの雰囲気があります。居間の吹き抜けも高く、天窓があるため明るく威圧感を感じません。各部屋の窓も上下に開く電車の窓(ダブルハングウインド)みたいでとてもよい雰囲気です。このような荒っぽい感じが大好きです。

床がワックスを塗ってあったのと、天井や壁の一部が石こうボードだったのが気に入りませんでしたが、それ以外はほぼ理想通りでした。

荒々しい太鼓挽きのログ、シーダーシェイク(杉板)葺きの屋根、天窓、ダブルハングウインド、薪ストーブ、広いデッキなど、憧れのものばかりがこのログハウスに集結していました。

もう言葉はいりませんでした。

このアーリーアメリカンのログハウスと出会った感動。もっともっとここに居たい気分でした。しかし、遅くなると帰りが大変で、次の日の仕事にも影響します。後ろ髪を引かれる思いで帰宅の途につきました。

静岡に帰ってきてもまだその余韻は残っていました。しばらくは、心を奪われてしまった足利のログハウスの夢を見そうです。
(つづく)


◆ ログハウスのメンテナンス《屋根の掃除》

原村の家は唐松林の中に建っていたので、秋になると大量の落ち葉で屋根が覆われて、一年に一回は屋根の掃除をしなければならなかった。

今すんでいるログハウスやコテージ、倉庫などの屋根も、原村と同じウエスタンレッドシーダーという米杉から作られた手割りの屋根材で葺いてある。

素材が木なので、乾燥すれば縮み、雨が降ればふくらむ。そのため施行の時には木の変化に影響の無いように板と板の間を1センチ位あけてとめていく。

家の北側に赤松の林と、唐松が数本あり、毎年秋になるとかなりの量の落ちて葉が屋根にたまる。広葉樹の落葉と違い、松の葉は屋根材の隙間に入ってしまい、次から次にそこを起点として堆積していく。

風情があって良いのだが、掃除をしないと飛ばされてきた土埃と共に松葉が腐葉土化して、そのままにしておくと虫の巣になったり、草が生えたりして屋根材にとっては悪い条件になる。

ここは原村より針葉樹が少ないので、毎年の掃除は必要ないが、5年も経つので北側がだいぶ溜まってきていてる。そろそろ屋根掃除の時期だ。

1日仕事になるので暖かくなったら実行するつもりでいる。


◆ 今週の話題《闇に紛れるキツネたち》

こ雪が積もった翌朝には、いろいろな動物の足跡を見ることが出来る。いろいろといっても、この辺りでよく見るのは、キツネ、鹿、猪、イタチ、オコジョ、野ウサギ、リス、そして猿くらいだ。猪だけはいまだに姿を見たことはないが、足跡は畑でよく見る。

雪が10センチぐらい積もったある朝、家の周りに犬のような足跡があった。同じ方向に向かって歩いたか、走ったかした足跡だ。歩幅もバラバラなので2匹もしくは大小数頭の群れのようだった。2匹だとするとガニマタすぎる。勝手口や玄関、コテージの裏にもあった。

家の周りを何かを探しながら、何回もぐるぐるとまわった様子だった。いつも来ているのだろうか。それとも今回だけ特別なのだろうか。

数日前の夕方に、キツネ一匹がすぐ横の斜面を降りていくのを見た。その前の夜には、妻が玄関を出た途端に前の林で何かの動物がサッと走り去るのを見たという。尻尾の様子など判断すると、どうやらキツネのようだ。

今回のこの雪の足跡も大きさから判断すれば、キツネ以外に考えられない。以前原村で見た足跡は、四つの足跡は左右にぶれないで一直線に並んでいた。このことを思えば2匹説は消える。同じ方向に向かう大小の足跡の違いは、4匹の親子キツネだったのだろうか。


【編集後記】

つい先日友人の父親が亡くなりました。直接お会いしたことはありませんでしたが一人の人生の歴史が閉じられたことにたいへんな悲しみを覚えました。私は長野に来る数ヶ月前に父親を亡くしました。夏休みで建築中のため長野で寝泊まりしていた最中の出来事です。危篤だとの知らせを受け真夜中車を走らせました。着いたときには、父はもう目を閉じていました。号泣です。このときばかりは自分の為だけに好き勝手にやっていたことを反省しました。仏教では生者必滅(しょうじゃひつめつ)と言う言葉があります。人間だけではなく生あるものは必ずいつかは死ぬということ。不変の真理なので、十分わかってはいますが、永久の別れは辛く、とても寂しく、哀しいことです。 こころよりご冥福をお祈りいたします。
ウッディライフ9号の表3に載っていた広告(1983年10月25日発刊)

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