自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第103号》2018年1月3日発行
◆風除室のシダーシェイク屋根の貼り替え
◆枯れ木の活用
◆近くの竹藪
新年明けましておめでとう御座います。
八ヶ岳の里山は、雪のない正月を迎えています。
気温も例年より高く、朝晩はマイナス4?7度、昼頃にはプラスの10度くらいまで上がり、晴れた日が続いています。
夜は深い青色の空に、満月にも負けず星も綺麗に輝いて見えています。

  ◆里山でのいろいろな出来事

《風除室のシダーシェイク屋根の貼り替え》

母屋から張り出した風除室の古くなったシダーシェイクの屋根。貼り方は30年以上前にログハウスの輸入業者から教わった方法で、カナダのブリティッシュ・コロンビア州林産審議会が発行した使用ガイドからの施工スタイルだ。それは垂木の上に合板を打ちルーフィングを貼ってその上に屋根材を打ち付けるという方法だが、15年目位から中央から下方部分の梁材の割れや腐りがはじまり雨が漏るようになってきた。

勾配が緩いので水はけも良くないのが原因だが、一番のダメージはこの屋根を歩いて年数回煙突掃除をしていたことにもある。

また、雨漏りの原因は防水紙下地のパネリングにあった。剥がしてみてわかったのだが、本実加工部分が少しへこんでいるのでその部分が横に破れていた。草などの根も入り込んでいた。合板の様な平らな下地なら屋根材がへたれても大丈夫だったに違いない。

というわけで、今回は下地に針葉樹合板を使うことにした。

平面で見れば、横7.4m縦3.45mである。勾配は11.4度(約2寸勾配)の緩い片流れだ。今でこそシダーシェイクの施工の定番となっているコールドルーフという寒冷地用の屋根の貼り方を取り入れた。

古いシダーシェイクを剥がし、いままであった野地板・ルーフィングの上に針葉樹合板を貼り、その上にカラールーフィング(23kg)を貼った。桟木は杉材で21ミリ厚×45幅×3mを50本使用した。桟木を455ミリピッチで縦に打ち付け、その上に今度は横に軒先から打ち、次に200ミリ開け、その次からは250ミリピッチで上に向かって打っていく。

天窓の部分はシェイク材が天窓に付いている水切り材とうまく噛み合うように、2×4材を平使いで枠を作ってかさ上げした。今回は葺き足が250mmの場合だが、葺き足によって桟木の縦方向のスパンは違ってくるが、シダーシェイクの場は経験的にこの数値が最良だと思う。

スタートとなる軒先のシダーシェイクは野地から5cm出して貼り、250mm軒先から開けて巾300mmにカットしたルーフィングを敷いてタッカーで留め、さらにその上にシェイクを二重にして貼る。カラールーフィングは緑色なのでシェイクの間から見えるので裏面の黒を表にして使う。

次からは葺き足250mmスパンで貼り上げていく。同時にルーフィングを挟みながらの作業だ。今まで留める釘はステンスクリュー45mmを使っていたが、今回はカラーコーススレッド全ネジの黒を使用した。

理由は釘だと経年で木がやせてきて浮いて来ることと、修理などで剥すとき釘抜きで他のシダーや野地にもダメージを与えることがあるからだ。ネジの場合打ち過ぎたり桟木に当たらなかったりしたとき緩めれば簡単に戻る。作業性も良くハンマーで叩かないので桟木にもダメージを与えない。

と言う理由でコーススレッドを使った。ステンレス製ネジならば申し分ないと思う。

一列でちょうどシダーの屋根材を一束を使う。ピッチは250ミリなので働き面積は1.825平米になる。1枚の長さは平均61cm、厚さはテーパーが掛かっていて先端は約20〜18mmで後ろは薄く3〜6mm位。一束には平均で、巾25〜30cmが10枚、18〜23cmが19枚、10〜15cmが11枚。梱包によって違うがプレミアムグレードなので節や欠陥があって使えないものは一束中1、2枚あるかどうかで、そのままでは使えないが割ったり切ったりすれば十分使える。

シェイクの下は42ミリの空気層があるので通気の確保も重要になってくる。住むところでは無いので前後左右を開口してある。

ただ、ここは林に囲まれているので昆虫が多く、マルハナバチなどは隙間一杯に巣を作るので開けたままにしてはおけない。そこでステンレス製の金網を付けた。ログ壁側には落葉などが入らないように植木鉢の底に使う樹脂ネットを加工して二重にして取り付けた。


古いシェイクは十分使える物とやや使える物、殆ど腐ってしまった物とに分類して母屋の屋根下にあった使える物はそのまま再利用し、やや使える物はストックした。腐ったりした物は(これが半分以上有る)良く乾かして、細かく割って、薪ストーブの焚き付けにしている。

今度は通気性を考えた施工方法なので20年以上は保つことを願っています。



《枯れ木の活用》

薪ストーブ用の雑木の立木は、毎年借りている山を間伐するだけで十分にある。秋口から立ち枯れの木々が落葉した木々の間に目立つようになってきた。家の下の斜面や畑の奥の斜面には立ち枯れていたり倒れた雑木が数十本有る。

今回は作業がやりやすい場所の3本の木を切ることにした。

1本目は、畑奥の三面貼り川向こうに、先日の強風で山側に倒れたナラの木。太さは根元で25cm位で長さは15m位。まだ腐りはじめた樹皮がついている。

側道と言っても地主さんの私道。そこまでユンボを動かして木の根元付近までバケットを振る。老体に鞭を打って1.3mくらいの巾の川を飛び越え。木の根元にワイヤーを掛けバケットに繋ぐ。ユンボに戻ってアームを最高まで延ばし振り回す。

木元は枯れ葉だらけの斜面を滑りながら、ワイヤーに吊されながら川を越え道路に横たわった。まだ2/3以上は山肌にかかったまま。

チェーンソーで35cmの長さで玉切りし、10個くらい玉切りしたところでまた玉掛けし直して引きずり出ことを繰り返す。木の先端部分は周りの柔らかい部分が取れて芯の硬い部分しか無いが随分としっかりしている。これも使わずには勿体ない。

軽トラに乗せたら、1車分は十分にあった。

2,3本目は井戸と道を挟んだ斜面に太いホオノキに寄りかかるようにして根が少し浮いた状態で枯れたままになっているナラの木。道路から上5m位の所の斜面だ。

斜面で木が混んでいて少しやっかいな感じだが、一応受け口を作って切ってみた。やはり倒れることは無い。次ぎに、手の届くところにワイヤーを掛け下のユンボに繋ぎ、下から105cmの高さで慎重に左右前後に倒れないようにギリギリまでカットしておき、引き倒すことにした。

25cm位の太さで高さが10mぐらいだが、上の方の枝が5.6本あり広がっている状態で周りの木々にかかっている状態だ。アームを引いてみたが倒れる様子が無い。

今度はバックしながら引いてみた。バリバリいう音とともに一気に倒れた。枝がバラバラと飛んで来る。先端は道路を越えて畑にある作業小屋横をかすめるようにして倒れた。丁度そこにはビニールハウス用のパイプが置いてあったので、屋根用の長いパイプがぐんにゃりと曲がってしまった。少し残念。

最後の一本はこの木から2m位離れた所にある。根元が30cm以上あったのでなかなか手こずったが、同じ様な方法でどうにか思う方向に引き倒せた。

この道の奥は行き止まりで車が通らないのでそのまま放置。
次の日その場で玉切りにした。軽トラ2車分有った。

人為的に切り倒され山に放置されている木と違い、今回の立ち枯れの木の堅い木質部には水分が殆ど無く虫食いもなかった。表皮も簡単に剥がれ、白っぽいばさばさになった形成層(成長する部分)もこすれば簡単に剥がれた。

このような木は玉切りし薪ストーブに入るぐらいに割り、1週間も乾かせば直ぐに使える。表皮の無い枝も同様に、切って直ぐに使えるほど堅く乾いている。

北欧ではパインなどの針葉樹の立ち枯れだけでログハウスを作るメーカーもあったが、広葉樹の立ち枯れの木も細胞が死んで乾いているので伸縮も少ないはず。家具などには良いと思うが、我が家では小物ぐらいは作るが専ら薪ストーブで活躍する。


《近くの竹藪》

近所に導入路横に竹藪が有りそこの土地が売りに出されています。買主は一時決まりかけてまだ決まっていないのですが、最近売りやすいように竹を切りました。最初は売り主がご夫婦で行っていたのですが、高齢のためと手作業のためはかどらないので、土地を売る業者に頼んだようです。

約240坪あり、孟宗竹がやや密生している状況でした。その隣にも竹藪があるのですが、実はそこから伸びてきた竹が図らずも今伐採しているところまで密生してきたたわけなのです。

地主は、農協に出荷するほど。毎年多くのタケノコが出てきたと、喜んでいました。時々タケノコを我が家にも持ってきましたが、ちょっと大きすぎたものでした。もっと若いうちのほうが我が家は喜ぶのですが…。

竹林周囲一体は、盗む奴が居ると言って、鉄条網で囲ってあり、さらに陽が出る前の朝早から、隠れて見張っていたようです。

そのように頑張って管理してきた竹林ですが、今はさっぱりした広場になっています。我が家には林を通して朝日が当たるようになり、前の檜林の中程から富士山もよく見えるようになりました。

ここに来てから知り合ったお年寄りは7、8人が他界し、彼が最後の一人となってしまいましたが、大切にするあまり管理できずに放っておかれるより、早く他の人の手に渡った方が良いと私は思います。

この周辺も、間伐や草刈りなどの手入れをやらなければ荒れ果てていくでしょう。今、後継ぎや担い手不足で裏山の持ち分を管理する人はいません。時折竹藪の地主さんが行うだけになりました。

そんなわけで、私は進入路はもちろんですが、集落につながる裏山の道や、家の前の林、下の畑の周囲の道や法面などの草刈りや、間伐などを行っています。誰に頼まれたわけでも無いのですが、地元の人にありがとうと言われたり、人々が歩きやすくなった山道を散歩していることを見るのが励みになります。

これから10年ぐらいは私だけで何とか行けそうな気がしていますが、歩行が困難になるほど荒れ果てた里山になるのも、畑や田んぼが雑木林になるのもそう遅くは無い様な気がしています。


【編集後記】

この周辺で猿が姿を消しました。昨年は一度だけ集団が現れただけです。農作物の被害は有りませんでした。例年の10分の1以下です。鹿も居ますがやはり少なくなってきました。猪は相変わらずで、下の畑の側道や使っていない3段目の畑は絨毯爆撃の後のように一面掘り返されたこともありました。でも、猿の少なさには驚いています。車で街の方面に出ると時々見かけますが、確実に減っています。以前裏山の広葉樹が間伐で殆ど切られましたが、我が家の前から下の方はまだ山栗やヤマグルミ、ドングリ類は豊富にあるので、そのせいだとは思えません。いたずら者の猿でも、急に居なくなると少し淋しくなります。
古くなったシダーシェイク。
以前の野地板の上にコンパネを打ち防水のルーフィングを貼り桟木を取り付けていく。天窓は桟木2本分の高さに嵩上げする。
さらにルーフィングをシダーシェイクの間にはさみながら下から順番に貼っていく。
天窓部分は鉛のようなエプロンが下に出ているのでそれに打たないように上手く貼り合わせる。
ということで無事完成。
誰も手入れをしない山には、立ち枯れた木や倒木がそのままになっている。
手前の竹林は人も入れないほど竹が密生している。

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