自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第5号》2005年12月28日発行
◆ いなかのSOHO(土地との出合い/原村篇)
◆ ログハウスのメンテナンス(ログ間の隙間対策)
◆ 今週の知恵袋(凍ったネギ)
◆いなかのSOHO

今回のお話は最初に戻って、土地との出会い(原村偏その1)です。

私達が長野に土地を求めたのはペンションが若者のあいだで流行りだして最盛
期の時代。自然回帰の志向がどんどんと高まり始めた時代でもあります。

賑やかな都会をはなれ、自分をみつめるため、あるいは社会を一歩ちがうところから見つめ直したい、さらには自然により近いところで暮らしたいなどという願望が一部の人達のあいだで広まっていきました。中には、近い意志を抱いていた仲間とコミュニティをつくり田舎で生活を始める人たちもいました。タレントやミュージシャンも田舎生活にのめり込む人もいてちょっとしたブームになりました。食の安全、自給自足、反体制、宗教、自然エネルギーなどなど、その目的はいろいろだったと思います。

 ●それは一冊の本から

当時、静岡に住んでおり、他県の田舎暮らしなどの情報は、一部の雑誌や新聞などで入手するしかなく、それも極わずかな限られた情報でした。もちろんそのような専門誌もありませんし、今のようにインターネットでサクサクと検索して調べるというわけにはいきません。

それが、マスコミもしだいに自然志向に押され夜遅いテレビ番組のコーナーでも取り上げられるようになりました。そんなとき、仕事のタウン誌の取材で行ったある本屋で、季刊のログハウス専門誌「ウッディライフ」という本を見付けたのです。木の家、とくにログハウスが好きだったのと、いつも「田舎暮らし」=「ログハウス」という公式が頭の中にあったので興味津々、すぐに創刊号からのバッナンバー数冊を取り寄せて、一気に隅々までむさぼるように読みました。

しかし、田舎の土地情報もほとんどなく、あるのは別荘地の広告ばかり。ログハウスも海外取材物が多く大きくて現実的ではありません。山小屋とかロッジなども多かったのですがやはり「住宅としてのログハウス」の参考にはなりませんでした。

そのうち、その本には田舎物件のコーナーも出現し始めたのですが、高くて手のでない物件や、九州、北海道などの遠すぎる物件などで、なかなか思うような情報は手に入りません。

自分で「ログハウスを建てる」という無謀な計画があったので求める土地は静岡から通える距離でなくてはなりません。移動時間は3〜4時間ぐらいのところ。比較的いままでは海に近いところに居たので次は山の中。などといろいろ考えている内に候補地が絞られてきました。

地図を拡げ、定規をあてて距離を測ったり、等高線で標高をみたり、気候風土を調べたりああだこうだしながら、やっと長野県か山梨県のどちらかにしようということになりました。候補地は山梨県の野辺山、清里、長野県の原村、蓼科、茅野などなど。とりあえず軽い気持ちでドライブがてら、その本に載っている長野県原村と茅野の別荘地を見に行くことになりました。

 ●とりあえず行ってみる

行く前日、仕事の原稿やデザインレイアウトを大至急仕上げ、写植屋さんに写植を発注して一段落。当時、デザインに使う印刷用の文字は写真植字という方法で行っていました。

今のようにコンピュータで打てば、文字になるというものではなく、写植屋さんは、原稿の指定書体などの条件に沿って、文字盤の文字を探しながら一文字一文字を写植機で写真に撮り現像していたのです。

それから私達がその写植を版下に貼って印刷原稿を作っていました。写植に時間が掛かるので、つぎの行程の版下製作で徹夜状態が何日も続きます。その写植の上がってくる間、2日間の休みを取り、新緑の長野を目指しいざ出発。
(つづく)


◆ ログハウスのメンテナンス

ここは北に小さな山があり北風は防げます。しかし西側が谷(そんなに深くはないのですが)になっています。北に位置する八ヶ岳から吹き下ろす風が、小さな山を回りながらその谷に落ちて、昇りながら我が家に到達します。雪の場合は風があると西から吹き上げてきます。

我が家のログハウスは、ログを重ね積み上げるときその間に、自然素材でできたシール状の断熱材を入れてあります。しかし、木は湿気でわずかですがふくらんだり縮んだりしています。季節に応じて隙間はうまく馴染んではしていますが、急激な冬の乾燥には追いけないところもあり、わずかな隙間が生じます。

特にログとログが交差するところが、お互いにえぐられているので、そこの隙間が平面よりも多くなります。自然換気と思えばどうこうありませんが、風速が10〜15メートルを越えるような冬の荒らしの場合は、さすがに北風をうらみます。そんなときはもうコーキングしか手はありません。

シール状の物も出回っていますが、外壁だとはかなりの量になります。充填式の物ではログの延び縮みに柔軟に対応するゴム状になるドイツ製のパーマチンクなどが最適です。以前の太鼓挽きログの時に使いましたが、ログ間のくぼみが深いものにはよいのですが、角ログのような浅いスリットにはそこからはみ出てしまうので不向きのように思います。

したがって、我が家のログにはホームセンターで売っている一本399円のシリコンコーキングの黒を部分的に外から施しています。外壁の色が茶色の濃い色なのであまり目立ちません。数年で弾力も粘着力もなくなりダメになりますが、風の侵入はなんとか防ぐことが出来ます。


◆ 今週の知恵袋

今年は長ネギを多く植えた。昨年から畑を始めた近所の人に余ったネギの苗をもらったため、その分多くなったからだ。下仁田ネギのような太くなる長ネギだったが、ほとんどの苗が順調に育ったため、百本を越えるネギが出来た。

我が家で消費するには限度があり、だいぶ知り合いに貰ってもらった。毎回十数本づつ抜いてきて使っているが、それでもまだ畑にはかなりの本数が植わったままでいる。取ってきたネギを仮に保存している軒下でも氷点下の日が続くとネギも凍ってしまう。

かちかちに凍ったネギを室内に置いて、しばらくしてドロに汚れた乾燥している外側の部分を数枚とっていくと、真新しいネギになる。触った感じは弾力もなく、スーパーで買うようなネギのようにはパリッとしていない。

しかし、実際に食べてみるとこれがなんと甘いこと。鍋物に入れて食べてみた。繊維質を感じさせないくらいに食感は柔らかく、とろりとして甘くて美味しい。焼き鳥のネギ焼きはいまいちだったが、水分を補いながらの鍋のような料理には凍った長ネギの最高の美味しさが出ると思った。


【編集後記】

ことしもあと数日で終わり、新しい年を迎えます。富士見町に来てもう5年が過ぎようとしています。私は5年周期でいろいろな変化を自分に与えて、今までやってきました。来年はその年になります。今年は準備期間でしたがまだ実行するには足下がおぼつきません。何をしようとしているのか、はたまた挫折で終わるのか、見込みができましたらお知らせ出来る日がくると思います。

それではみなさま、来年も引き続きよろしくお願いいたします。

楽しい年末と、よいお年をお迎え下さい。
ウッディライフ創刊号

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