自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第3号》2005年12月14日発行
◆ いなかのSOHO
◆ ログハウスのメンテナンス
◆ 今週の知恵袋
長野県八ヶ岳の西麓に住むこと16年。2001年同富士見町に移転し再びログハウスを造り、自宅横に2003年メンバーズコテージも新築。八ヶ岳の麓から、いつまでも大切にしたい自然と、SOHOの快適な田舎暮らしをお伝えします。

◆いなかのSOHO(住む場所の選択-その2)

田舎に住むにはツテがなければ、なかなか思うような土地を買えません。どのようにしてSOHOの拠点となる理想の土地を手に入れ、セルフビルドでどのように家を建てたのかなどのいろいろな話をお伝えしています。

前回の「水」に続いて、ライフライン関連です。今回のお話は「電気」。
ここは人里離れ、周りには家もない山の中なので、当然電気はありません。山中には電気なんていらない、という人もいるそうですが私の仕事上、住むには安定した電気の供給無しには干上がってしまいます。

それでも「エコ発電」には多少の興味もあるので風力発電や太陽光発電などいろいろと資料を取り寄せ考えましたが、設置を検討する前に、取り付ける家とお金がないことには話にならないので、とりあえず母屋建設のための作業休憩小屋(後には倉庫になる)を建ててから、「その方面」は後でじっくり考えることにして今回の話を進めます。

当面は、電気工具を動かすくらい。必要な電力は1000ワットもあれば十分なので、短期間電源確保の候補は、持ち運びのできる中古のエンジン発電機にしぼられました。中古機械取扱店や、知り合いに安い物はないかと方々探しているうちに、ちょっと重いがただでもらえる発電機が、身近にあつたのです。

親戚に「使っていないエンジン発電機がある」というのではないですか。古くて大きくて重い。しかし、ちゃんとエンジンはかかり、発電もする。当面の電源確保としては、何もかも申し分のないものだったのでもちろん大喜びで貰いに行きました。と、まあここまではいいのですが…

いざ使い出すと、このエンジン発電機、古い機種のせいか、やたらと音が大きく、いかにも工事現場だぞ〜という騒音で現場の雰囲気を高めてくれる代物。山の中だから苦情もこないが、住宅街だったらとても使えるものではない。(たぶん一番迷惑を被ったのは野生動物だと思う。)

燃料やメンテナンスを考えると、とても割にあったものではないが、何もないところで発電できることは、敬意を表するくらい「有り難い」ものである。

そんなこんなで、整地をし、基礎用の穴を掘り、型枠をつくり、生コンを打ち、基礎を高くして地下にしその上に15平米のかわいい倉庫を造った。(この建築の関係はまたの日にお話しします。)完成まで約10ヶ月。その間、この「だいじな発電機」は故障もなく大活躍。

このくらいの道具を使う作業では電気に不便もなかつたのですが、次のステップになると、とてもこの発電機をフルパワーにしても電力が間に合わないので、商用電力(中部電力)のお世話にならなければなりません。

前回お話しした「水」を下から汲み上げ、敷地内の貯水槽に貯めるためにはどうしても電気の揚水ポンプが必要になってきます。井戸から敷地まで距離が約70メートル、高低差が15メートル。そこまで水をくみ上げられる力のあるポンプは、動力です。

100ボルト用のものもあったのですが、動力と比べ電気代が倍くらい違うらしいので、揚水ポンプは動力にして、普段の貯水槽から家の蛇口に送るポンプは一般の100ボルト用のものに決定。

電気の引き込みは、知り合いの電気工事店にお願いしました。

電柱の経路や簡単な下見をしてもらって、おおよその使用目的などの状況を話し、申請までは電気工事店が行い、その後は中部電力が行ってくれるというので、なにもかもすべてお任せ。

一番近い電柱からの距離は約300メートルなので、電柱などの工事は無料で行ってくれる。1キロ以内なら無料だそうで、ひと安心。(この工事無料システムは、水道引き込み工事にもあってほしいもの。)

我が家まで6本の電柱が必要だとのこと。その担当者は電柱の配置設計図面みたいなものを持って打ち合わせに来て、そのあと地元の地主に交渉に行ったらしいが、なかには設置の土地を貸してくれない農家もいたという。担当者は2回も3回も図面を書き直して交渉しては持ってきた。

農家は、草刈りなどで電柱や支線がじゃまになるそうで、電柱を建てるわずかな土地でもなかなか貸してくれないらしい。(なかにはそれ以外の理由もあるが)数週間後、ようやく電柱を建てるところすべての土地の交渉が終わり、電線が当たりそうな木の枝払いや伐採も行われ、どうにか電気が通じた。

ちなみに、我が家の敷地内には、コンクリートの本柱が1本と支柱が1本、支線が1本ある。その土地の使用料として1年あたりで3750円が振り込まれてくる。高いか安いかわからないが、お陰様で電気が来るので「有り難い」と思う。
(つづく)


◆ ログハウスのメンテナンス

一年で一番乾燥した時期が今の冬の時期です。また、ペイントの最適な時期でもあります。

我が家のログハウスも外壁塗装をしてから5年目を迎えます。そろそろ再塗装とは思っていますが、環境が良いのか、塗料メーカーが良いのか、木材にとって状況の悪いとされる南側もほとんど劣化していません。(内部は最初から無塗装なので塗り直しの手間はありません。)

以前は市販の塗料に墨汁を混ぜて使っていましたが、最近は高性能の良い外壁用のエコ塗料が出回っているので、以前のように、特定のメーカーにこだわらずに選択ができ、気に入った色で塗ることが出来るようになりました。

塗装をしない人も見かけますが、外壁は雨風や太陽の影響を受け過酷な状況にさらされているので、ログを長持ちさせるには外だけは塗装した方が良いように思います。我が家の再塗装は来年になりそうです。


◆ 今週の知恵袋

カメムシ退治。この辺は田んぼが多いので、カメムシも多く発生する。冬場は、冬眠状態になり、普通なら家の中には入ってこない。ここの場合とくに薪置き場の薪の間に集団で居ることが多い。ウチは薪ストーブなので、そこから一日に数回カメムシがついていないか注意しながら、薪を家の中に持ってくる。

しかし、どうういうわけか薪のどこかに潜んでいるらしく毎日数匹は必ずと言って良いほど侵入してくる。冬眠中なので動きは鈍いが、部屋の中が温かいので元気をとりもどし、飛びまわったり壁を歩き回ったりしている。そんなとき活躍するのが小さなガラスの空きビン。

壁をカメムシが歩いているとき、カメムシの下方向約2〜3センチの所を、ビンの蓋を開けて、口をやや壁側に傾け、軽く「トン」と壁に当てると、物の見事に、カメムシはビンの中にダイビング。すぐ蓋を閉めて監禁。臭いもしません。ウチにはいつでもカメムシの詰まったビンが数個あります。

近所の友人宅では、一匹ずつ処分するので、いつもガムテープを利用するそうです。歩いているところを上から甲羅に向けてガムテープを軽く押しつけながらはりつけた後、器用にカメムシをつぶさないようにして袋状に三方たたんでいくそうです。真似してやってみました。この方法でも慣れるとうまくいきます。失敗すると、例のなんとも言えないニオイが…。


【編集後記】

数ヶ月前の長期天気予報では、こんどの冬は暖冬とのことでしたが、いざ冬になってみると、雪は早くに積もるし、真冬並みの寒さだし、すべて予想をくつがえした日々が続いています。誰かが「一ヶ月早めに思っていれば今の気候に合っている。」と言っていましたが、本当にそう思います。地球温暖化の影響もかなりあっていままでの天気予報ではそれこそ「想定外」続き。異変があっても、おかしくはないと思うような感覚になってしまう環境変化がここ数年急激に増えています。来年はいったいなにが起きるのでしょう。
古くても十分発電するマキタ発電機G1500A。マックスで13Aあるので丸ノコやドリルなどの電気工具は余裕で使える。

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