ポピュラーシンガーグループ「カーニバル」
Vol.25 1982.4月号掲載 
写真左から:藤原美穂さん 藤原明子さん 藤原久美さん
音楽は私たちにとって空気みたいに大切!

菊川の3姉妹が「カーニバル」というグループを結成して、第23回ポプコンにチャレンジした。ポプコンに出場するに当たって、昼間は周りの騒音が喧しいので、夜静かになったところを見計らって練習に励んだ。3人で「寝るな、寝るな」と顔をひっぱたきながら夜中の2時〜3時まで練習した。しかしその甲斐もなく、ラジオセミファイナルの29曲の中の1曲にはいったものの、東海地区の本選会には出場できなかった。しかし「3人で楽しんでやろう!」と軽い気持ちで応募したので格別ガッカリもしていないようである。この3姉妹にとって音楽とは「楽しんでやればいい」ということであった。

藤原美穂さん(長女20才)
以前、三文役者というグループの一員としてキーボードをやっていた。三文役者は島田市を拠点として活動していたグループ。この時ダブダブに出場して準決勝まで進んだ。現在は東京の専門学校を出て、東京のデザイン事務所でグラフィックデザイナーを目指す傍ら、音楽活動にも励んでいて、バンドを組みライブハウスで活躍中。好きな音楽は黒人音楽で、将来は姉妹そろってエモーションズのようになりたい。そして一度でイイから3人そろってステージを踏みたいとの事。また、作詞作曲もやっているので、その道にも進んでいきたいけど、チャンス次第と電話で語ってくれた。

藤原久美さん(次女18才)
最近まで、フライ・ハイ・フライというグループのボーカルとして活躍していた。それ以前は。美穂さんと同じ三文役者というグループでボーカルをやっていた。今春から東京の短大に行くことが決まったりしたため、今後どういう活動をしていくかは未定とのこと。

藤原美穂さん(三女14才)
ミスセブンティーンのアイドルに応募して見事落選。しかし、CBSソニーから声が掛かって「歌手として売り出したいから練習に来てくれ」ということで、週1回東京に通うことになった。本人は「あまりやる気がない」と、ノリノリではないようだが、姉2人の強引なすすめによって決定。久美さんに言わせると「歌が下手でね、かえって目立ったんじゃない」とのこと。


3姉妹が自由に羽ばたけるのも理解ある両親のおかげと言える。両親は菊川で工務店を営んでいる。普通の家庭なら反対するところを、藤原家では逆に賛成して、いろいろやることに喜びを感じているそうである。

「父が率先して、お前やれ!みたいに菊川町内でやらせたり、地元の夜店市にステージを作って歌わせたりする。そういうことを若者はもっとやらにゃあいかん、という主義だもんで、友達が倉庫なんかで練習していると、近所からやかましいって苦情がくる。うるさいやめろ、って。そういうの両親はすごく反対するの。若者にやりたいことやらせないから非行に走るんだ。だからやりたいことがあればどんどんやりなさい、って言う。菊川にもスタジオなんか作って練習させてやらにゃあいかんってな調子。将来はライブハウスでも作るかなんて親子で話し合っている。そういう父親に育てられたから3人共のびのび育っているみたい。親には感謝しています。」と久美さん。

藤原家の紹介がながくなってしまったが、こういう理解ある両親に育てられた姉妹は幸せである。さて、今回は美穂さんが東京にいるため電話での取材しか出来なかったのは残念ではあるが、久々に親子の明るい話が聞けて大きな収穫でした。3人とも歌のうまさはトントンだという事で、これからどういう風に進んでいくのかはわからないが、一生涯音楽を愛しそして、歌い続けていくだろう。「妹がデビューしたら、付き人かなんかになって、私たちもその恩恵をあやかりたい」という下心が叶えられるかどうか、明子さん頑張って!